英国の10代少年、一夏の恋で禁錮1年に直面した理由 ドバイ
(CNN) 休暇中の恋愛はラブ・コメや女性向け小説のネタだが、マーカス・ファカナさん(18)にとってはそうではない。ファカナさんは夏の情事で禁錮1年の判決に直面しているのだ。 【画像】禁錮1年を言い渡されたマーカス・ファカナさん 英ロンドン出身で大工見習いのファカナさんは9月、家族とアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで休暇を過ごしていた際、ホテルで同じ英国人の10代と出会った。ふたりは恋愛関係になり、性的関係を持った。 ふたりはロンドンでも関係を続けるつもりだったが、17歳の少女が英国に戻ると、母親が娘とファカナさんとの関係に気づき、ドバイ警察にファカナさんのことを通報した。 ファカナさんはCNNに寄せた書面で「とても傷ついた。理由も告げられずにホテルから連行された。両親を含め、誰にも電話することを許されなかった」と語った。この書面は、英国を拠点とする法律顧問および人権保護の団体でファカナさんに法的な助言を行う「ディテインド・イン・ドバイ」が共有した。「すべてがアラビア語で、いつ出られるか分からなかった。弁護士や大使館、両親に会うこともできなかった」 UAEの性的同意年齢は18歳。ファカナさんと交際していた当時、少女は未成年に該当した。 ファカナさんは「法律を破るつもりはなかったし、彼女があと1カ月で18歳になることも知らなかった」。同じ学年だったので年齢は気にしなかったという。
「現代的な」観光地
ドバイは西欧の旅行者に人気がある。同国は昨年、過去最高となる1715万人の観光客を海外から迎えた。8700万人の乗客が利用したドバイ国際空港は利用者数で世界第2位にランクインした。 しかし、ほとんどの旅行者は、権威主義国家であるドバイの法制度がどのような違いを持つのかに気づいていない。同国の法制度は民法とシャリーア法の両方に基づいている。 ディテインド・イン・ドバイの最高経営責任者(CEO)兼創設者であるラダ・スターリング氏はドバイについて、「現代的で自由な観光地」として宣伝されているが、あまり知られていない法律やその恣意(しい)的な適用に観光客が遭遇すると「観光客は困惑する」可能性があると話す。 ファカナさんのケースは、この街でトラブルに見舞われた外国人の新たな事例にすぎない。 恋愛関係、アルコール、オンライン活動に関する法律は、観光客が最もよく遭遇する問題の一部だ。ドバイでは認可された会場での飲酒は合法で、パーティー文化は「広く浸透している」が、飲酒していることが公共の場で見つかった場合、公共の場での酩酊(めいてい)または無許可飲酒で起訴される可能性があるという。 「会場を出てタクシーに乗り、家に帰ることが違法だとは誰も思わないだろうが、会場の外にいる間は法律に違反している」(スターリング氏) 混乱を招くもう一つの領域は、ハッキングやテロから、悪意のあるコメントや慈善活動の宣伝までオンライン活動を網羅する包括的なサイバー犯罪法だ。これらの法律は、コミュニケーションが非公開か公開かを問わず、遡及(そきゅう)的かつ国際的に適用されるため、UAEへの渡航前にオンラインで共有したものが入国後の起訴につながる可能性があるという。 スターリング氏は同国を訪れる観光客のほぼ100%が法を犯していると言えると話す。39歳のアイルランド人は今年、「脅迫的な絵文字」を送ったとしてドバイで3カ月間拘束され、北アイルランドの男性は否定的なグーグルレビューを理由に2カ月間拘束された。