「誰かが抜けても回る仕事」を教育する時代 人手不足な職場の生き残りの〝カギ〟働き方の激変に対応する能力
【マネー秘宝館】 私が大学生だった頃、アルバイトニュースという雑誌がありました。私のような貧乏学生にとってこれは教科書よりはるかに大切、なぜならアルバイトをしなければ生活ができません。仕送りが尽きて金がなくなると、いつも「もやし」を炒めて食べていました。八百屋で一番安いのがもやしだったからです(確か1袋20円くらい)。 たくさんのバイト先が掲載されているアルバイトニュースはありがたいのですが、電話して面接のち採用という手順のため、「明日の金がない」ときには間に合いません。 このようなときは学徒援護会とかいう組織を頼って日雇いバイトを探しました。ここを朝に訪れ、運がよければその日の日払い仕事にありつけます。ただ、抽選に外れるとその日はもやしだけ食べてじっとしていないといけません。 以上は40年前のお話です。「時代が違ってわからない」読者がいたらごめんなさい。あれから時は流れ、「その日のバイト」が楽勝で見つかるすばらしい時代になりました。いまどきの大学生はタイミーをはじめとするアプリで「近所のスキマ時間バイト」を簡単に探すことができます。人手不足の折、これは雇う側からしてもありがたいですよね。「明日のバイトがいない」事態にも落ち着いて対応できるわけですから。 スキマバイトだけではありません。あちこちの人手不足職場では「誰かが抜けても仕事が回る」仕組みづくりを熱心に行っています。一人が急病で休んだり、辞めたりしても「仕事は回る」ことが大切なのだとか。そんなことを力説する某外食産業マネジャーの話を「ふ~ん」と聞きながら、レストランの未来に思いをはせます。 ここから個人的な話です。10年ほど前、小さかった息子の希望で、とある回転寿司によく行っていました。毎週のように訪れていたのでお店の方と顔見知りになります。いつも息子が「ネギトロ5皿」と注文していたので、そのうちに何も言わずに「はい、いつもの」とネギトロ5皿が席に届くようになりました。仲良くなったフロア長の女性とは家族のような会話をするようになりました。 店に行かなくなってから10年。息子がふと「あの人、どうしているかな?」と言いだし、なんとなく懐かしい気分で「行ってみよう」となりました。