【WMSから読み解くEC物流の動向】コマースロボティクス 中嶋直人事業部長「次なる進化はマテハン連携」
「次はマテハンと連携するシステムの開発に着手する」と話すのは、EC領域向けにWMS(倉庫管理システム)やOMS(注文管理システム)を提供するコマースロボティクスの執行役員 SaaS事業部長の中嶋直人氏だ。中嶋氏は創業メンバーの1人であり、たたき上げで執行役員に就任した。現在はSaaS事業がメインだが、営業やCS対応、倉庫作業など幅広い業務を経験してきた。物流に携わり11年が経過した今、中嶋氏には今の物流がどのように見えているのか。 ――変化の激しいEC業界だが、直近の動向はどうか? WMSやOMSの実績ベースでいくと、アカウント実稼働数1500超となった。当社のWMSを使用する3PL倉庫も160拠点に拡大した。 WMSなどを経由し、発送された年間出荷数は1年間で4000万件と毎年堅調に伸びている。出荷件数は、契約数に加えて大口顧客と連携することで数も変わる。昨今連携した物流大手のSBSホールディングスによる影響は大きく、今年9月の出荷件数は前年同月比で140%増となっている。 ーー創業時を振り返りたい。 会社が設立したタイミングの2013年8月入社した。当時、私が行っていたのは、受注処理代行やCS代行など。現在の主力事業であるWMSやOMS、DX事業などはやっていない。事業形態を変えながらこれまで進んできた。 創業期の当社のターニングポイントは、米国のエバーノート社が日本でECをやるというタイミング。当社が運営代行のコンペを勝ち取ったことだった。そこから、EC分野にいく流れとなった。この展開が、今の当社のグローバル事業の礎にもなっている。 運営代行としてやっていたのは、販売管理とCS対応、物流の3つ。物流は別の会社が行っていた。物流は任せながらも一緒になって対応してきた。 エバーノート社の売り上げは月間で3000万円から4000万円。好調な売れ行きだったが、開始から2年程度で米国本社の方針によって事業は終了した。 ただ、この2年でECのみならず、物流管理が相当鍛えられた。その後、物流倉庫を自社で借りて、物流代行業がスタートした <ノウハウ積んだWMS開発> ――WMSなどの提供はいつから? 2016年に、当社初のWMS「AiR Logi(エアロジ)」ができ上がった。 エアロジの開発は他の物流会社のWMSを作ることが目的で開発が始まった。しかし、汎用化が思うようにいかず、別のWMSを作る形となった。試行錯誤しながら開発に1年を要し、自社初のWMS「エアロジ」が完成した。 2016年前後は、荷主や倉庫主が使っている主要なWMSが出てきた時期でもある。当社は16年にローンチできたため、多少早くWMS市場に乗り出せていたと思う。 「エアロジ」は開発当初から、現在まで大きな設計変更などはしていない。 今となればこれは非常に重要で、初期設計が開発時点でしっかりできていた。自分たちの倉庫で使用しながら検証し、課題解決や現場の状況を把握しながらのノウハウをもとに初期設計をしっかりと作り込むことができたことが大きい。