深圳・日本人児童刺殺とNHK「放送乗っ取り」、中国社会の「反日ナショナリズム」はレッドゾーンに入るのか
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中国広東省深圳市で日本人学校に登校中だった男子児童(10)が中国人の男に刺殺された事件の背景には、社会への不満を日本にぶつける歪んだ風潮の高まりがある。中国のSNS上には日本人学校などを攻撃する反日動画が拡散している。 それは、日本やアメリカなど西側を敵視することでナショナリズムを煽り、体制への求心力に利用した 習近平 国家主席の「強国」路線が生んだ風潮だ。だが、今回の事件を招いた反日ナショナリズムは、捌け口のない鬱積となって体制そのものに向かう可能性もある。それを恐れる習近平指導部は、情報統制を強化し、真相を隠すしかなくなっている。 事件が起きた9月18日は、1931年の満州事変の発端となった柳条湖事件の記念日だった。同事件では日本の関東軍が奉天(現瀋陽)郊外で満鉄の線路を爆破したにもかかわらず、「中国が仕掛けた」と、と自作自演で攻撃を開始。中国東北部を占領し、翌年に傀儡国家「満洲国」を成立させた。中国メディアは毎年、この日を「国恥の日」として朝から宣伝し、SNS上の書き込みは日本への復讐心をかき立てる声であふれる。
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城山英巳