「“君”はどう生きるか」...なぜ作家・鴻上尚史は“君たち”ではなく、“君”と呼びかけたのか。多様性の時代に問われる“個”の生き方とは
多様性の時代を生きる十人十色の“君”へ
90年近く前に書かれた『君たちはどう生きるか』は、「君たち」と十代全員に呼びかけられる時代だったと思います。 でも、今、十代の人たちに向かって、まとめて「君たち」とは呼びかけられない時代になりました。 一人一人が本当に違うからです。 好きなマンガ、好きな歌、好きな動画、好きなアーティスト、好きな洋服、好きな時間、好きな食べ物、好きな場所、それぞれがバラバラです。もちろん、嫌いなものも、みんなバラバラです。 だから「君たちはどう生きるか」ではなくて「君はどう生きるか」と問いかける必要が生まれたとぼくは思っているのです。 これが、最近よく言われる「多様性」ということです。 『「じつは多様性の世界はしんどい」…いまを生きる令和世代へ、鴻上尚史が「多様性神話」の影にある「協働」の大切さを説く』へ続く
鴻上 尚史