天王寺動物園ホッキョクグマ親子旅立ちへ 飼育員の熱き思い
下村さん「静岡へ届けるまでは緊張だらけ」
そして、今回、バフィンが故郷である浜松へモモと帰ることになった。今後は、昨年ロシアから天王寺へ来たもう1頭のホッキョクグマ、メスの「イッちゃん」(2歳)のみとなる。
下村さんに「寂しいですか」と聞くと「いや、今はまだ、静岡へ届けるまでは緊張だらけですね」という返答。それもそのはず、輸送する際は麻酔を使うなどリスクも発生するため、気が抜けないのは当然のことだ。 だが「きっと浜松へ返した後、からっぽの部屋、そして、牛肉、ソーセージ、アジ、ハクサイ、ニンジン、蒸しサツマイモ、ホッキョクグマ用ペレットといった、毎日あげていた20キロのエサを用意しなくてよくなった時、初めて寂しさを実感するかもしれませんね」と下村さんは話してくれた。
また、モモがプールへ飛び込む「バシャーン」という音が無くなるのも寂しいとか。下村さんによると、イッちゃんの飛び込む音とまた違うそうだ。 そんな思い出いっぱいの親子が一般公開されるのは、11日午後1時半まで。そして13日には、浜松へ出発する。ホッキョクグマ舎前で、下村さんを取材していると、バフィンとモモが立ち上がるなどして、ずっと下村さんを見つめていた。「輸送などは大変ですが、最後まで頑張ります」。下村さんは笑顔でそう話し、愛する2頭のもとへ笑顔で走っていった。