【Around30】秋田美人に会える場所、私が作ります!27歳Uターン女子の挑戦
「あきた舞妓劇場」が開設される予定の、秋田市にある旧料亭
【連載】Around 30 人生の分岐点 ~私はこれで生きていく~ 第5回 起業家(株式会社せん代表取締役社長)水野千夏さん(27) 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第5回は、秋田県出身の起業家、水野千夏さん(27)。かつて栄えたあきた舞妓を復活させ、新たな観光資源にと奮闘する毎日や、彼女の原動力について迫った。 ◇
「私、コンプレックスがあるんですよ」。 水野千夏さん、27歳。株式会社「せん」の代表取締役社長。秋田市の繁華街にかつて150人以上いた「川反(かわばた)芸者」の文化を復活させようと、「あきた舞妓」を育成、派遣する会社を起こしている。
地元の経済界を巻き込み、秋田美人の象徴として「あきた舞妓」を新しい観光資源にしようと奮闘する水野さん。テレビのドキュメンタリー番組や数々のインタビュー記事からどんなパワフルで明るい女性が来るかと想像していたが、インタビューの始まりは意外な一言だった。 水野さんは、秋田県内随一の進学校の高校を卒業。中学時代はバレーボールに熱中して成績は下の方だったが、部活引退後にはインフルエンザで寝込んだ時もペンを離さず勉強し、合格した。要領良く勉強して同校に入学した3歳上の姉とは違う自分にコンプレックスがあり、負けたくない一心で勝ち取った合格だった。 神奈川県内の大学を卒業後、イギリス発祥で、若い女性に人気の化粧品会社に入社。渋谷の勤務先に配属され、通勤電車ですし詰めになりながら職場に向かう毎日を送った。同じころ、高校の同級生は医者を目指していた。あと数年で医者になり、白衣を着て颯爽と肩で風を切って歩く友人を想像すると、「自分がいなくても回る職場で、私は何をやっているんだろうと思った」と、水野さんは振り返る。