浦和レッズを「食」から支える栄養士・石川三知の仕事とは? 練習後の残食量が激減、クラブ全体の意識も変化
浦和レッズの“勝負飯”は?
――石川さんが「一人一人に合わせた食事」を大切にされていることを承知で、あえて聞かせていただきたいのですが、浦和レッズで試合前にいつも食べる“勝負飯”ってありますか? 石川:答えはもうわかると思いますが、ないですよ(笑)。でも、ハードな練習をした後や、スケジュール的にどう考えてもこれはきついなという日にスムージーを作っています。合宿の時などは選手が自分でも作るようにしているんですけど、試合の翌日とかすごくタイトな時とか、アウェーから帰ってきてすぐ練習の時などには、状況に合わせて私が作っています。 ――スムージーは飲みやすくて栄養価も高くて良さそうですね。どんなものを入れているんですか? 石川:基本的にはアサイーをベースに夏はバナナを事前に凍らせておいたり、パイナップルやマンゴーなど。涼しくなったらバナナは凍らせないで使おうとか。秋以降はリンゴや人参に変えます。あとはヨーグルトや牛乳、豆乳、アーモンドミルクを加えています。ただ、私自身が子どもの頃にバナナとパイナップルが好きすぎて、アナフィラキシーになっちゃったから味見ができないんです(苦笑)。 ――そうなんですか! じゃあ分量はどうしているんですか? 石川:基本の分量は決めています。ただ、その時々で果物や野菜の味に違いがあるので、最初の頃はキッチンのスタッフに試飲をお願いしていました。でも、最近はまあまあだいたい、こんな感じ!と思って作っていると、「ミッチー、スムージーうまいよ!」と言ってもらえるので。分量はいい加減ですが、味は好評です(笑)。 ――さすがですね(笑)。石川さんはミッチーさんという愛称で呼ばれることが多いんですか? 石川:「ミッチーさん」なんて呼んでくれる選手は少ないですけれどね。ミチさん、ミッチー、石川さん、などそれぞれの呼び方です。 ――最後に、管理栄養士を目指す人や、セカンドキャリアで資格を取りたいというアスリートに向けてアドバイスをいただけますか? 石川:私は大学の栄養科を出たわけではなく、最初に行っていた大学の学科も違って、偶然の巡り合わせもあって今があるので、キャリアとしてはあまり参考にならないかもしれません。ただ、皆さんもそれぞれ目指すきっかけは違うと思いますし、現場はいろんな感性や観点を持った人たちを望んでいると思うので、目標に向かって頑張っていただきたいです。私自身は、「現場に栄養士なんていらないよね」って言われないように頑張りますので。 <了>
[PROFILE] 石川三知(いしかわ・みち) 「(有)Office LAC-U」代表。八王子スポーツ整形外科栄養管理部門スタッフ。中央大学商学部兼任講師(スポーツ科学)。これまでに、フィギュアスケート・荒川静香選手、高橋大輔選手、全日本男子バレーボールチームなど多くのメダリストやオリンピアンを栄養面からサポート。現在は、サッカーJ 1・浦和レッズ、東海大学附属仰星高校ラグビー部、山梨学院大学陸上部(短距離・フィールドパート・長距離)のサポートを行う。生涯学習のユーキャンでは、「スポーツ栄養プランナー講座」を監修。
インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]