ボルボEX30 ソフトウェア不具合で緊急ブレーキ誤作動も 一部オーナーは「全額返金」求める
ソフトウェアに悩まされる最新EV
ボルボの小型EV「EX30」でソフトウェアに関連する複数の問題が確認されている。欧州では、この不具合が原因で一部のオーナーが車両を返却し、返金を求めている。 【写真】新しい価値観を提案してきた最新世代の小型EV【ボルボEX30を写真でじっくり見る】 (27枚) インフォテインメント・タッチスクリーンの画面が真っ暗になる、ステアリングホイールのボタンが反応しなくなるといったものから、充電ができなくなったり、緊急ブレーキシステムがランダムに作動したりと、問題は多岐にわたるという。 また、ネット上ではオーナーが情報を共有しており、タッチスクリーンに誤った情報(時刻や航続距離など)が表示される、プロフィールが工場出荷時の設定に戻る、運転補助装置が機能しなくなるといった話も確認された。 AUTOCARの調べでは、問題が深刻化したため、全額返金を求めてボルボに車両を返却したオーナーもいるようだ。 こうした状況に対し、ボルボの広報担当者は声明で次のように述べた。 「(この問題は)ボルボ車に期待されているものではないことを認識しており、お客様へのご迷惑を最小限に抑えながら、可能な限り迅速にこの問題を改善するよう取り組んでいます」 「英国ではごく少数のケースですが、お客様が消費者の権利を行使して車両を返品することを選択されました。ボルボ・カーズでは、所有期間を通じてお客様をサポートする努力を続けており、全体として、オーナー様から寄せられる好意的なフィードバックに励まされています」 EX30はソフトウェアに大きく依存しており、ヘッドライト、サイドミラー、エアコンなど、主要機能のほとんどは中央のタッチスクリーンからアクセスする。 ボタンやスイッチなどによる物理的な操作は、窓の開閉、ドアロック、ハザードに限られ、ステアリングコラムのスイッチでギア選択、ウィンカー、ワイパー操作を行う。 ボルボはAUTOCARの取材に対し、EX30の2025年モデルが7月8日に発売されるため、英国向けのオンライン・コンフィギュレーターから一時的に削除されていると述べた。コンフィギュレーターの更新を待つ間も販売は続けられており、ディーラーに行けば2025年モデルを事前に選択することができるという。 「英国では今年、すでに4500台以上のEX30がお客様に納車されました。好調な受注に支えられ、人気が証明されています」とボルボは言う。 ボルボがEX30でソフトウェア問題を抱えたのは今回が初めてではない。ボルボはデバッグ用のソフトウェア・アップデートを実施するため、発売を見合わせたこともある。6月には全世界で約7万2000台を対象にリコールが実施された。 ボルボはスウェーデンを本拠地とする自動車メーカーで、現在は中国の巨大企業、吉利グループの傘下にある。生産は中国で行われているが、2025年からはベルギーでも生産開始の予定だ。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)