「リミッターを超える境地にはもう行けないから」8・23後楽園で引退の中島安里紗
【WEEKEND女子プロレス#24】
SEAdLINNNGの中島安里紗が、8・23後楽園ホールで約18年間の現役生活にピリオドを打つ。Sareeeから「悪魔」と呼ばれる中島。妥協なきファイトスタイルがそう呼ばれる理由だが、かつての女子プロレスでは殺伐とした闘いが当たり前のようにリング上で繰り広げられていた。彼女は全日本女子プロレスの激しい闘いに魅了され、プロレスラーをめざしたのだ。 【写真ギャラリー】8・23後楽園ホールで約18年間の現役生活にピリオドを打つ中島安里紗(写真:新井宏) 伊藤薫や井上京子の教えから全女スタイルを継承しているSareeeでさえも、堀田祐美子、下田美馬に鍛え上げられた中島の強さには舌を巻く。そんな中島が引退とは、女子プロ界にとって大きな損失であることは間違いない。もちろん、中島自身もやめたくてマットを去るわけでは決してない。「100%で闘えるけど、120%出せなくなったら、それは私ではない」が、中島のポリシー。全力で試合をする自信はある。が、プロレスラーである以上、限界を超えてこそとの思いが大きい。その限界を超えられないのならばリングに立ってはいけない、というのがプロレスラー中島安里紗の考えなのだ。 引退の引き金となったのは、今年の開幕戦で発生したアクシデントだった。スリーパーを極められた中島が動けなくなり救急搬送。首のヘルニアが悪化し、頸髄損傷と診断された。それは試合中に負ったものではなく、ダメージの蓄積から発覚したのだ。むしろ彼女にとって、それは不幸中の幸いだったという。 「あれのおかげで悪いところがわかったんですよ。これまでは痛みも痺れもなく、全然平気だと思って試合をしていました。それが人生で初めての入院で、身体の現状を初めて把握したんですよね。また同じことになったら次はないということもあって、引退を決断しました。といっても、実は以前から引退は考えていて、昨年(8・25後楽園)、Sareeeに負けてシードリングのタイトルを落としたくらいからなんとなくアタマにはありました。いつもの自分だったら、負けたら絶対に取り返しにいくじゃないですか」