「薄っぺらい関係やめよう」 令和の世に敢えてゲキ…“時代おくれ”の指導に込める信念
静岡・三島ゴールデンイーグルスに漂う昭和の懐かしさ…技術の前に“つながり”重視
技術よりも先に身に付けるべき、大事なことがある。昨年の高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントに出場した静岡・三島市の少年野球チーム「三島ゴールデンイーグルス」は、仲間とのつながりをチーム方針の最上位に置く。周りから「時代おくれ」と言われても、人との関係が稀薄なっている世の中だからこそ選手に伝えたいメッセージがある。 【実際の動画】機敏な動きと“元気な声かけ”が響き渡る 三島ゴールデンイーグルスの守備練習 田んぼに囲まれたグラウンドに選手たちの大きな声が響く。ウオームアップから機敏に動き、時に指導者からのゲキが飛ぶ。給水や昼食の時間になると雰囲気は一変し、選手たちはたわむれ、指導者と冗談も交わす。野球が好きで上手くなりたい選手たちと、厳しさのある愛情で接する指導者たち。三島ゴールデンイーグルスは昭和の懐かしさを感じさせる。 チームを率いる矢嶋祐輝監督は、三島ゴールデンイーグルスのOBで、コーチを経て4年前に指揮官となった。静岡県の社会人軟式野球を牽引する静岡ガスで選手、監督を務めた後、少年野球の指導者となった。豊富な知識を持っている中で、技術指導よりも野球への取り組み方に重点を置く。 「技術的なことを多くは言いません。野球に向き合う姿勢や仲間への思いが欠けていれば、小手先だけになってしまいますから。時代おくれと言われるかもしれませんが、人とのつながりや思いを大事にする環境を、グラウンドにつくっています。その上で技術や戦術があると考えています」 白球を必死に追いかけ、チームメートと苦しみや喜びを分かち合う。仲間を大切にしない選手には、指導者が厳しく指導する。インターネットの普及により、1人で自宅に居ても不便のない生活が可能になった時代。その流れに抗い、指導者たちは薄れがちな人と人とのつながりを取り戻そうとしているように映る。矢嶋監督が語る。 「仲間とつながれば、失敗を恐れずに伸び伸びとプレーできます。どうやったら仲間と信頼関係を築けるのか。薄っぺらい関係、友達と言っていながら簡単に約束を破ったり、困っているのに放っておいたりする行動は、グラウンドでは絶対にやめようと選手たちに伝えています。時代が移り変わっても、人と関わらずに生活することはできないと小学生の年代から知ってほしいと思っています」