高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答。全世帯でも約6割…老後にむけて何ができる?
高齢者世帯の所得はいくらか
世帯主の年齢別にみた1世帯あたりの平均所得金額は、20歳代を除けば70歳以上が最も低くなっています。 ・全年齢:524万2000円 ・60歳以上69歳以下:536万6000円 ・70歳以上:381万円 60歳代と70歳以上で大きな差が出る理由は、就業率の差です。 ●60歳代と70歳以上の就業率を比較 内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、60歳代では半数以上が就業しているのに対し、70歳以上になると就業率は大きく下がります。 年齢別の就業率は次の通りです。 ・65歳以上69歳:52.0% ・70歳以上74歳:34.0% ・75歳以上:11.4% 就業中は一定の収入がありますが、高齢で仕事を辞めると収入は年金だけになります。 2024年に公的年金の水準は2.7%引き上げられましたが、近年の物価上昇率がそれを上回り高齢世帯の多くが「生活が苦しい」と感じています。 ここまで高齢者世帯の家計状況について見てきましたが、次章では老後に向けた対策について解説します。 一般的に老後対策は早く始めた方が効果が高いため、次章を参考にできることから始めてみましょう。
老後生活を安定させるための対策3つ
老後に「生活が苦しい」という思いをしないために、早目に対策を考えておきましょう。 主な老後対策は、次の3つです。 ・老後資金を貯める ・老後の収入を増やす ・老後の支出を減らす 本章では、老後資金の準備方法と収入を増やす方法について解説します。 ●老後資金の準備方法 老後資金を貯める方法はさまざまですが、効果的に準備するためのポイントは次の2つです。 ・税制上のメリットの大きな制度を利用する ・貯蓄よりも資産運用に重点を置く 1つ目のポイントの税制上のメリットの大きな主な制度は、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「NISA(少額投資非課税制度)」です。 iDeCoは、国民の老後資金準備を支援するために設けられた私的年金制度です。 iDeCoの税制上のメリットは次の通りです。 ・掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象 ・運用益は非課税 ・受け取る年金や一時金は「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象 税制上のメリットが大きく、老後資金準備に最も適した年金制度と言えます。 NISAは、資産運用による国民の資産形成を支援するために設けられた税制優遇制度です。 運用益が非課税となるため、効率的な資産運用が可能です。 iDeCoとは異なり、老後資金に限らずさまざまな資金準備に利用できます。 2つ目のポイントは、貯蓄よりも資産運用に重点を置くことです。 銀行預金などの貯蓄では、元本が保証されるというメリットがありますが、低金利が続きお金はあまり増えません。 一方、株式投資や投資信託などの資産運用では元本割れのリスクはありますが、元手を大きく増やすことも可能です。 投資リスクを避けたいと考える人も多いですが、「長期」「積立」「分散」によってリスクを抑えることもできます。 続いて、老後の収入を増やす方法について解説します。 ●老後の収入を増やす方法 老後の収入を増やす効果的な方法は、定年後も仕事を続けることです。 仕事を続けることによるメリットは次の通りです。 ・給与収入によって生活を賄える(年金だけに頼らなくて済む) ・厚生年金に加入することで老後の年金額が増える ・年金の繰り下げ受給によって年金額を大幅に増やせる 高齢者の就業率は年々アップしていて、前述の通り65歳以上69歳以下の人の半数以上が仕事に就いています。 定年後に開業や転職を考えている人は、現役時代に開業準備や転職に向けたスキルアップを検討してみましょう。