前園氏 ザックの攻撃的サッカーを日本は継続すべき
決勝トーナメントの戦いが繰り広げられているサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。残念ながら日本はその舞台にはいない。攻撃的なサッカーを掲げながら、W杯という大舞台で「自分たちのサッカー」を十分には発揮できないまま、グループリーグで敗退してしまった。日本はこれからどんなサッカーを目指してどう戦うべきなのか。元日本代表のサッカー解説者、前園真聖氏に聞いた。
前園氏は、ザック・ジャパンが取り組んできた攻撃的なサッカーを今後も継続するべきだと語る。「グループリーグ敗退という結果だけ見ると、(決勝トーナメントに進出した)4年前に戻して守備的にやった方がいいという声もあるが、それはナンセンス」と、守備的なサッカーへの転換には否定的だ。 南ア大会の日本代表も4年間、決して守備的なチームづくりをしてきたわけではなく、大会直前に、いろいろな状況判断から岡田監督が守備的なシフトに切り替えた。「日本がそれ以上に進むためには攻撃的な部分を強化しないと勝てない」と語る。 前園氏は第3戦のコロンビア戦の戦いぶりを評価する。「コロンビア戦は後半途中までは日本のサッカーができて相手を苦しめることができた。そのいい部分を今後4年間で継続して行く。これをまたゼロに戻すとか、守備的に戻すべきではない」と述べ、今回の4年間で攻撃的なサッカーを継続するための土台ができたという認識を示した。 日本代表が目指すべきスタイルについては、コロンビア戦のように「攻守にわたって敵陣でプレーする。スピードやアジリティを生かした早い攻撃が日本には合っている。逆に、自陣で押し込まれて守る展開には弱い」と見る。 今大会で課題になったのは、引いてブロックをつくった相手の崩し方、そして、攻守における「1対1」だという。攻撃的に戦うにはどうしても失点のリスクを背負うことになる。そのため特に守備面の1対1で負けないことが大切だと語る。 「(今大会の)失点シーンもけっして数的不利な状況ではなかった。それでもやられてしまった。これは顕著に3試合通して出た部分。それを含めて弱点の強化しなくてはいけない」。 ただその継続は、4年後のロシア大会に向けて、というより「8年後、それより先を見据えてどういうサッカーを代表が目指していくかが重要」と長期的展望が必要という。そのためには個人としても、代表チームとしても、海外の厳しいプレッシャーの中で戦う経験を積んでいくことが必要だと強調する。