中国の「魏志倭人伝」に記された伊都国…複数の王墓の出土品から当時の葬送儀礼を読み解く
中国の「魏志倭人伝」に記された伊都国(現在の福岡県糸島市周辺)の王都だった国史跡を紹介する「倭人伝に記された伊都国の実像 三雲・井原遺跡」(新泉社)が刊行された。執筆者は糸島市文化課の河合修さんと平尾和久さん。 【写真】前に盾、入れ墨様の線刻「盾持人埴輪」佐賀市の重要文化財に…古墳の悪霊除け副葬品か
中国の出先機関・帯方郡の使者が常駐し、諸国を監察する邪馬台国の機関・一大率が置かれた伊都国は、弥生時代後期の大陸交渉の窓口であり、軍事拠点だったとされる。その隆盛を裏付けるように、複数の王墓から質、量とも一級の銅鏡が出土したほか、周辺では大陸由来のガラス玉、文字の使用を裏付ける硯などが見つかっている。
本書は遺跡の変遷や出土品を解説し、割られた鏡などの副葬品から当時の葬送儀礼を読み解く。超大型鏡の副葬で知られる平原王墓は、伊都国の中心域から立地が離れ、墓群の形成時期が重なることから、三雲・井原の王統とは別の首長墓だった可能性に触れるなど、独自の考察も試みる。