トップ10入りへ再ブレークの錦織に世界が注目するワケ
開催中のマスターズシリーズ・マイアミ大会で錦織圭がベスト4へ勝ち進み、話題を呼んでいる。日本で、という話ではない。ATPツアー最高峰のマスターズシリーズでという舞台で、グランドスラム史上最多優勝17回を誇る元王者ロジャー・フェデラーを破っての準決勝進出となれば、これは世界的なニュースである。 〈マスターズシリーズ1000〉でのベスト4進出は、2011年の上海大会以来2度目だが、その価値は今回のほうが重いだろう。マスターズシリーズは年間9大会あるが、その中でもドロー数が96で、開催期間が12日間というこのマイアミ大会は、3月前半のインディアンウェルズ大会と並んで最大規模を誇る。 1月の全豪オープンと5月の全仏オープンの真ん中にあり、「第5のグランドスラム」と呼ばれて、トッププレーヤーが皆照準を合わせる大会だ。今回もトップ20のうち手首故障のファンマルティン・デルポトロを除いて全員が出場。あの上海大会では、トップ20の出場者は13人にとどまり、フェデラーもノバク・ジョコビッチもいなかった。 錦織が次に対戦するのはそのジョコビッチで、もう一方の山からは王者ラファエル・ナダルと世界7位のトマーシュ・ベルディヒが勝ち上がった。ジョコビッチとナダルの実績はここであらためて挙げるまでもないが、ベルディヒもウィンブルドン準優勝などの実績があり、最高ランキングは5位。つまり、錦織だけがトップ10入りも、グランドスラムのベスト4以上も経験していない。そして、一番若い。常連の中にフレッシュな若者が一人……このことはATPツアーにとっても大いにアピールしたいニュースだろう。背後に、今の男子テニスが抱える大きな不安があるからだ。 〈ビッグ4〉と言えば誰を意味するのか、世界中のテニスファンで知らない人はいない。ナダル、ジョコビッチ、フェデラー、アンディ・マレーの4人のことである。グランドスラムは2010年全豪から昨年の全米まで丸4年、計16大会において〈ビッグ4〉以外の手にトロフィーが渡ったことはなく、マスターズシリーズでもまた2011年から先のインディアンウェルズまでの28大会のうち27大会を〈ビッグ4〉が制している。