韓国・第2次ベビーブーマーの「定年退職ラッシュ」開始で、11年後には経済成長率「0%台」突入の可能性も
深刻な労働力不足が確実に
韓国では今年を皮切りに今後11年間、第2次ベビーブーマーの954万人が引退し、深刻な労働力不足が予想される。彼らに代わって今後産業現場に投入される15歳-25歳までの世代人口は567万人で、第2次ベビーブーマーの60%にも及ばないことが明らかになり、超低出産傾向が韓国経済に暗い影を落としている。 【写真】韓国「世界最低の出生率」更新へ…! 日本よりも深刻な「超少子化」の原因 先日、安息年に入った知人に会った(安息年とは、定年退職を控える社員に会社が与える1年間の長期有給休暇のことで、出勤しない代わりに月給は50%だけ支給される)。その知人は、某地上波放送局のドラマ監督で、一時は数多くの人気ドラマを演出しヒットメーカーと呼ばれた人物なのだが、最近はもっぱら再就職活動に余念がないという。 「普通は、引退を控えている放送局出身の演出家たちには制作プロダクションからオファーが殺到する。放送局にパイプがあれば、編成を受けやすいからだ。それが、最近は業界全体が深刻な不況で、規模を縮小したり廃業したりするプロダクションも多く、再就職が容易ではない状況だ」 「60歳定年」が法律で定められている韓国では、2015年から2023年まで第1次ベビーブーマーの引退ラッシュが続き、今年からの11年間は第2次ベビーブーマーの引退ラッシュが続く。 第1次ベビーブーマーたちは、朝鮮戦争直後の1955年から1963年までの出生者で、総数705万人、第2次ベビーブーマーたちは、1964年から1974年までの出生者で、総数954万人だ。この2つの世代を合計すると1,659万人で、なんと韓国の全人口5,169万人(22年基準)の31%にも達する。 韓国の人口ピラミットで最も分厚い層を形成しているベビーブーマーたちの引退は、当然、国の経済にも大きな影響を及ぼす。 7月1日、韓国銀行が発表した「第2次ベビーブーマー引退年齢進入にともなう経済的影響評価」報告書によれば、第2次ベビーブーマーたちの引退にともなう就業者の減少で、経済成長率は11年間(2024~2034年)年率約0.38%ポイント下落すると推定される。これは第1次ベビーブーマーたちの引退当時の下落幅(-0.33%)よりも大きい数字だ。 さらに、11年後、第2次ベビーブーマーの引退が終わる2035年以降には、韓国の経済成長率が「0%台」に突入するかもしれないという展望まで出ている。