鹿島で経験した「タイトルを獲らなければわからない景色」。山本脩斗が振り返る7年間と思い描く未来
タイトルを獲らなければわからない景色
――当時のチームの強さはどこに感じていたのでしょうか? 山本:やはり、満男さん、ソガさん(曽ケ端準)の存在は大きかったと思います。加えて当時は、源や(土居)聖真、(柴崎)岳もまだまだ伸び盛りで、年齢も含めたチームのバランスもよかったように思います。年齢が下の選手たちは、年上の立ち居振る舞いを見て、感じ取っていく。自分は、ジュビロ磐田では、前田遼一さん、川口能活さん、中山雅史さんもいましたし、アントラーズでは満男さん、ソガさん。そういった先輩たちの背中を見てきたから、自分もこうありたいなと思って、湘南ベルマーレでは、そうした姿勢を見せてきたつもりです。 ――タイトルを獲ったチームの「強さ」とはなんでしょうか? 山本:アントラーズを知る選手が「試合より練習のほうが強度も含めてきつかった」という発言をしますけど、自分もそこに共感します。先輩からの指示も厳しかったし、練習も激しかった。でも、当時はそれが普通というか、ベースだった。サッカーの世界では当たり前に起きることですけど、監督も代わり、選手も代わり、そういったものが少しずつ薄れていったことが、(タイトルを)獲れなくなったり、(試合に)勝てなくなったりしていく理由の一つでもあるのかなと。 ――獲った経験があるから、言える言葉でもありますね。 山本:自分も2015年にナビスコカップの優勝を経験して、普段の練習の質、激しさ、厳しさも含めてわかったことがたくさんありました。それをみんなも感じるし、選手数人が入れ替わっても、その空気感が継続するから、次、また次と継続して高い基準を維持できたのかもしれない。 満男さんがACLに優勝したとき、ボソッと言っていたんですよね。「やっぱり、タイトルを獲らないとわからないよ」って。僕らがピッチにいるときに、準優勝したチームが、先に表彰のために階段を上っていく。ACLのときは、特にアウェイで周りもシーンとしたなかで、相手選手たちも悔しい表情をしていた。その姿を見ながら、満男さんが「これが2位と1位の差なんだよ。やっぱり1位じゃなきゃダメなんだよ」って。 今でも、その言葉と意味はめちゃくちゃ印象に残っています。いくつもタイトルを獲ったことのある人が、それを言う。タイトルを獲らなければわからない景色や、気持ち、もう一度獲りたいという欲がある。じゃあ、そのために何をしなければいけないのか……自然に、日々の練習の質を追い求めていくし、それを繰り返していきますよね。