「アテネの脚を出してみろ」九州5車勝ち上がりで山口富生が井上昌己にラブコールも、サプライズ連係は実現せず/玉野競輪・S級決勝
玉野競輪のナイター「第49回桃太郎杯争奪戦(F1)」は5日、最終日を迎える。12RのS級決勝戦に駒を進めた井上昌己(44歳・長崎=86期)と山口富生(54歳・岐阜=68期)に話を聞いた。 12Rに行われるS級決勝戦は九州の選手が5人も揃い、並びが決まるまでにかなりの時間がかかったが、『井上昌己の自力に山口富生』というサプライズ連係が山口の熱いラブコールで一方的に実現しかけた。 九州のまとめ役となる井上は「さすがに5人は並べない。(林)慶次郎には(北津留)翼。(伊藤)旭には(塚本)大樹で、ここまでは決まり。あとは俺がどっちに付くか」とメンバー表とにらめっこ。 するとここで山口が井上の横にスッと現れ「どっちの3番手とか悩んでる場合じゃないよ、昌己。お前は自力。捲りくらいあるだろ? そうすれば福岡2人、熊本2人に、昌己ー俺で奇麗に分かれる。アテネ(五輪)の脚を出してみろよ」と口説きにかかったのだ。 これにはさすがの井上も苦笑いで「富生さん、それはちょっと…」と首を横に振ったが、山口は「いいから動けって」と攻撃の手を緩めない。結局、この「動け」「いや、ちょっと…」のやり取りは1分くらい続いたのだが、当然、山口の要求は通るはずもなく、悩んだ末に井上は「この中で一番連係してるのは翼だから福岡の後ろ。3番手を回ります」がファイナルアンサー。これにより山口は「1人で前々」というコメントに落ち着いた。 昔から検車場では存在感抜群だったヤマトミだが、54歳になった今も変わらず超元気。どうにかして『いいところ』を回ろうと策をめぐらせていたのはある意味、立派だ。林ー北津留ー井上で並べばロケット作戦濃厚で、優勝のチャンスは低そうだが、それでも最後の直線は気合と根性で突っ込んでくる。(アオケイ・長谷川記者)