【31年前の再現も…】党勢拡大で「わが世の春」国民・玉木代表の裏で暗躍する「剛腕議員」の名前
玉木氏は「我が世の春」
先の総選挙で自民党は56議席減の191議席と大敗。第一党こそ維持したが、自公で過半数を維持できず、厳しい国会運営が予想されている。自民党内では、これまで法案提出などで協力してきた日本維新の会や国民民主党を連立政権に組み込めないか、新たな枠組みについての議論が日々なされている。 【写真】勢力拡大で上機嫌…!国民・玉木代表の「トラボルタポーズ」 一方、政権交代が視野に入った野党陣営では、最大野党である立憲民主党から維新や国民民主に秋波(しゅうは)が送られている。 維新と国民民主は、多数派工作のために自民、立憲の与野党どちらからもラブコールを送られているという状況だ。自民党のある参院議員が語る。 「国民民主は公示前の4倍となる28議席と躍進。与党側に取り込むことができれば即、過半数超え。玉木雄一郎代表(55)は政策ごとに連携する『パーシャル(部分)連合』の可能性を否定していない。来年の通常国会で国民民主に委員長ポストをチラつかせ交渉を進めているのではないか。 維新は総選挙で議席を減らし、馬場伸幸代表(59)の進退問題に発展しそうで、党内が揺れている。また大阪選挙区で公明党とガチンコ対決して圧勝したことから両党の溝が深まっている。野党から連立政権に組み込むなら国民民主の一択だろう」 玉木代表は「良い政策には協力する」と玉虫色の発言をしており、現時点では連立入りについて態度をはっきりさせていない。国民民主が「自民党政権」か「非自民政権」のどちらにつくかが注視されている。 ◆「野党勢力結集」のキーマン そんな中、10月31日、自民と国民民主は個別法案で協議を進める方針で合意。自民党は国民民主党の協力を得て11月11日召集の特別国会を乗り切ろうと画策している。 少数政党が政権の命運を握る形となっているのだが、実は似た構図が31年前にもあった。1993年8月に自民党からの政権交代を果たした細川連立政権だ。1993年7月の衆議院選挙で自民党は大敗。比較第1党は維持したものの、過半数を割り込んだ。日本新党と新党さきがけがキャスティングボートを握る形となったが、両党とも非自民側に回ったことで8党派による連立政権が樹立され、自民党は結党以来、初めての下野となった。 「細川連立政権の誕生には、1988年のリクルート事件に端を発する『政治とカネ』問題に対する国民の怒りが根底にあった。今回も裏金問題、つまり『政治とカネ』で国民の信頼を失った。ちなみに1993年の政権交代時、石破茂首相(67)と高市早苗前経済安全保障担当相(63)は下野した自民党を離党し、与党に移っている」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏) 既視感のある政治状況といえよう。11月の特別国会は冒頭から荒れることが予想される。そんな中、暗躍する“剛腕政治家”がいる。それが小沢一郎氏(82)だ。 「特別国会に向けて、小沢氏が暗躍していると漏れ聞こえています。特別国会の首相指名選挙で国民民主の党首・玉木氏の名前を野党が一致して記すという策を練っているのだとか……。1993年の政権交代時、小沢氏はキャスティングボートを握った日本新党と新党さきがけに働きかけ、日本新党の細川護煕元総理(86)を担ぎ上げて少数政党の党首を代表に据え、政権交代にこぎ着けています。ふたたび、少数政党代表を担ぎ上げて野党勢力を結集しようとしているというのです」(立憲民主党中堅議員) 各野党にそれぞれのお家事情はあるものの、「自民党を下野させる」という一点で結集を呼びかけるわけだ。 机上の計算をすれば、立憲民主党148議席、維新の会38議席、国民民主党28議席、共産党8議席、社民1議席で、223議席となる。過半数は233議席で、残り10議席。れいわの9議席に加え、無所属議員を勧誘すれば実現できない数値ではない。 ◆玉木代表を直撃すると…… 「31年前の細川政権も8党派が大連立するとは誰も思っていなかったのに、小沢氏が豪腕をふるってまとめ上げ、38年間続いた自民党一党支配の時代を終わらせた。首班指名選をうまく使えば政権交代が起こせる状況なのです」(前出・角谷氏) 特別国会前の「工作」は事実か。小沢事務所に質すと以下のように疑惑を否定した。 「いまの役職の総合選対本部長代行は選挙期間だけのもの。選挙が終われば無役のようなもので、幹事長や代表代行の肩書があればまだしも、いまの小沢には何もない。他党にアプローチなんかできないよ」 また、日本維新の会で国対委員長を担う遠藤敬衆議院議員(56)に「首班指名選挙での野党共闘の可能性」について聞いたところ「そんな話はまったく聞いていない」と否定した。 一番のキーマンとなる人物は、どう答えるのか。10月30日午後、キャスティングボートを握る玉木氏本人を直撃すると、それまでの明るい表情を曇らせて両手の人差し指をバツ印にして、 「お話しできません」 と一蹴。当人の回答が最も意味深だった。立憲民主党選対委員長の大串博志衆議院議員(59)が言う。 「今回の選挙結果を見れば、民意は石破政権に“否”を突きつけた。世論の声を反映するためにも最大野党の野田(佳彦・67)を中心にした野党結集に力を注いでいます。首相指名選挙でも各野党にはそのような形での協力をお願いしているところです」 首相指名選挙まで残りわずかとなったが、水面下の交渉次第で「予想もつかない政権交代」が起こる可能性が十分に秘められている。 取材・文:岩崎大輔
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