九回に決勝打を放った牧は両拳を握り、雄たけびを上げた（撮影・荒木孝雄）

（JERA　クライマックスシリーズ　セ　ファイナルステージ、巨人2－3DeNA、第6戦、DeNA4勝3敗、21日、東京ドーム）「2024　JERA　クライマックスシリーズ（CS）　セ」はファイナルステージ第6戦が行われ、3位から勝ち上がったDeNAがリーグ王者の巨人に3－2で逆転勝ち。巨人の1勝のアドバンテージを含めて対戦成績を4勝3敗とし、2017年以来7年ぶり4度目（大洋、横浜時代を含む）の日本シリーズ進出を決めた。同点の九回に牧秀悟内野手（26）が決勝の左前打。26日に横浜スタジアムで開幕する日本シリーズで、パ・リーグ覇者のソフトバンクと対戦する。 【写真】優勝シャーレをもって笑顔のDeNAの三浦大輔監督 一人、また一人と選手がベンチを飛び出す。7年ぶりの日本シリーズ進出が決まると、牧はグラブを投げ捨てて歓喜の輪に加わった。 「再三チャンスをつくった中、なかなか点が入らなかった。本当に気持ちで打席に入った。甘い球だけを狙っていた」 興奮気味に振り返ったのは同点の九回2死三塁。勝つか、負けるか、どちらか一つ。大一番に臨んだ脳裏に、迷いの文字はなかった。中3日で救援登板した菅野の外角球に食らいつき、決勝の左前打。走りながらバットをたたきつけ、天に向かって雄たけびを上げた。 ファーストステージで8打数5安打と振るった打棒がファイナルステージでしぼんだ。第5戦まで17打数3安打の打率・176で打点はなし。それでも「投手は頑張っている。最後は野手が助けたい」と土壇場で勝負強さを発揮した。 ファイナルステージは第1戦から3連勝で日本シリーズ進出まで1勝に迫りながら、2連敗で王手をかけられた。土俵際に押し返され、迎えた最終戦。一回に失策が絡んで先制点を献上し、四回にはスリーバントスクイズで加点された。 2点ビハインドとなるや、三浦監督は中4日で先発したケイからウェンデルケンにスイッチ。そこから坂本、中川颯、伊勢、森原と救援陣が無失点でしのいだ。場内インタビューで感極まった三浦監督は「選手たちが気力を振り絞り、本当に一生懸命戦ってくれた。最後の最後までチーム一体になって戦えた」と胸を張った。 熾烈な上位争いを繰り広げたレギュラーシーズン佳境。牧はチームのスローガンに「勝ち切る覚悟」を掲げた。周囲の雑音に惑わされず、諦めずに戦う―。そんな思いを込め、先頭に立って導いてきた。9月に正捕手の山本が負傷離脱し、エースの東もCSに入ってから故障で戦列を離れた。