「寺山修司展」(世田谷文学館)開幕レポート。寺山修司の世田谷時代──演劇実験室「天井棧敷」に注目
演劇、短歌、映画、評論、そのほか数々の分野で功績を残し、豊かな表現活動の可能性を模索した寺山修司(1935~83)。その活動と人物像を世田谷文学館のコレクションから紹介する「寺山修司展」が同館でスタートした。会期は2025年3月30日まで。 寺山は18歳で「短歌研究」新人賞を受賞。その後「俳句」や「短歌」などの定型詩から、自由詩へと創作活動の基盤を移し、歌謡曲の作詞や放送詩(ラジオ)へと活動ジャンルを広げた。そして、30歳を前後する1960年代後半には世田谷区下馬へ移住し、演劇実験室「天井棧敷」を設立。この世田谷時代と呼ばれる時期に、長編小説や戯曲、評論など新たな執筆活動を交えながら、演劇や映画といった芸術ジャンルへとその活動領域を移していった。 本展は、2025年に迎える寺山の生誕90周年を記念して企画されたものだ。会場は大きく分けて「世田谷区下馬・演劇実験室『天井棧敷』の設立」「手紙魔・寺山修司」の2部構成となっており、「天井棧敷」に関する資料や寺山自筆の書簡など約150点が展示されている。
撮影・文=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)