“モンスターバイト”による「リモートワーク詐欺」働いたように偽装したバイト側が労基署に駆け込んだ結果…企業側が受けた理不尽な被害とは?
リモートワークで採用した従業員が実はモンスターバイトで、実質ほぼ働いていないにもかかわらず仕事をしていたように偽装し、賃金未払いだとして労基署に駆け込んだらどうなるか? ――実際に「リモートワーク詐欺」被害に遭った企業側の悲痛な訴えをお届けする。 【画像】モンスターバイトX氏の提出物はコピペだらけだった…
被害に遭ったA社は“週1出社”以外はリモートワーク
オフィスに出勤せず自宅などで働くリモートワークは、企業側と従業員側の信頼関係のうえで成り立っている新しい働き方だ。ある種、性善説を前提とした就業形態とも言えるだろう。 ではこうしたリモートワークを基本とした業務で、悪意を持ったモンスターバイトを雇用してしまうと、どうなってしまうのだろうか? モンスターバイトの悪質な手口と、労働基準監督署(労基署)の解せない対応により、「リモートワーク詐欺」に遭ったと訴えるのは、メディア関係の中小企業・A社の社長だ。 「ウェブコンテンツ制作を主な事業としている弊社は、社員とアルバイト合わせても10人未満の小規模な企業です。コロナ禍以降にリモートワーク制を導入し、社員もアルバイトもオフィスへの出社は週1日だけにし、それ以外の日はリモートワークということにしています。 今回のトラブルを起こしたX氏が、アルバイトスタッフとして弊社に入ってきたのは半年前。在籍していたのは1か月半ほどでした」(A社社長、以下同)
姑息すぎる…「リモートワーク詐欺」の悪質手口とは?
X氏は20代男性で、週3日のアルバイトスタッフとして雇用。月曜はオフィス出社してもらい、それ以外の2日間はリモートワークという契約だ。 「最初の1か月は、一応は働いていたように思います。ただ、こちらが指示していることが理解できないのか、それとも物覚えが悪いのか、何度伝えても同じミスを繰り返していたので生産性の低さは感じていました。 新人でも1時間程度あれば十分終えられる業務に3、4時間費やしていたり、リモートワーク日に1日4回提出を義務付けている業務報告も、何度教えても送って来なかったり……。 肌感としては標準的な新人スタッフの3分の1程度の仕事量しかこなせていない印象です。しかし今振り返ると、最初からサボろうとしてできないフリをしていたのかもしれません」 1か月目の給与はきちんとX氏に支払ったというが、問題は2か月目。 結論から言うと、X氏は最低限働いた形跡だけを残してその月の中旬に“飛ぶ”(やめる)のだが、リモートワークで働いたフリをしていた6日分の賃金(約6万円)を請求してきたのだという。 「最初の異変は初週のオフィス出勤日。回線工事の業者が急に来てしまったという筋の通らない理由で出社拒否。2週目も意味不明な理由でオフィス出社せず、3週目のオフィス出社日に音信不通となりそのままバックレたんです。 ただ3週目に飛ぶまでは、リモートワークをしている体裁は取っていました。とはいえ、初月よりもさらに生産性が下がっており、さすがに意図的にサボっているのではないかと疑っていたので、X氏が飛んだ後に、その月の彼の仕事内容を精査したところ、とんでもない事実が発覚したんです。 X氏からの提出物は、ネットの情報を丸々コピペしただけであったり、他スタッフのデータをそのまま流用しただけだったりしたのです。何時間もかけて作ったかのように見せかけていた提出物は、ほんの10分程度で作れるお粗末なものばかり。当然、それらの提出物は使いものにならず作り直す必要があり、実質的にX氏は働いていなかったんです」 オフィス出勤日に出社しなかったのは、リモートワークであれば働いたフリをしてサボることができるが、出勤してしまうと偽装ができないからだと考えるのが妥当だろう。