【インタビュー】 Shopify プレジデントが語る、「大企業」獲得に向けた施策と戦略
Shopify(ショッピファイ)は、Facebook広告アカウントとオンラインのストアフロント(Shopify内のストア)だけでeコマース巨大企業を築き上げようとする商魂たくましいD2Cブランドに対応することで名を上げた。 しかし、創設から10年以上が過ぎ、時価総額が1000億ドル(約14兆8000億円)を超えるまでに成長した現在、Shopifyは大規模なエンタープライズ小売企業をより多く呼び込むことに照準を合わせている。これは、ブランドや小売企業が技術スタックのどの部分を使用するかを自由に選べるコマースコンポーネント(Commerce Components)を発表したときから同社の大きな注力対象だった。何十年もの運営実績があり、何十もの実店舗を抱えている従来型の小売企業にはおそらくすでに技術スタックがあるため、ビジネス全体を新しい運営に移行するのは大変なことだ。 そこで、エンタープライズ小売企業はいくつかのコンポーネントだけを採用して、Shopifyの環境をテストできるようにする構想が生まれた。たとえばエバーレーン(Everlane)は現在、コマースコンポーネントによってShop Pay(ショップペイ)を使用している。また、バナナリパブリック(Banana Republic)はバナナリパブリックホーム(Banana Republic Home)を開設したとき、店舗でShopifyのPOSシステムを使用することを決定した。
エンタープライズ企業にアピール
Shopifyにエンタープライズブランドを増やす取り組みを主導しているのは、プレジデントのハーレイ・フィンクルスタイン氏だ。この取り組みでは、Shopifyを利用していないブランドをソーシャルメディアで名指しすることもある。また、大規模な業界カンファレンスのパネルディスカッションのモデレーターとなり、Shopigyが大規模な小売企業向けのソリューションであることをアピールすることもある。 1月初めに開催されたNRF(全米小売業協会)のビッグショー(Big Show)において、フィンクルスタイン氏はベイズ(Béis)の創設者シェイ・ミッチェル氏やグロシエ(Glossier)のCEOカイル・リーヒー氏とともにパネルディスカッションのモデレーターを務めた。このパネルディスカッションはエンタープライズ小売企業だけが議題ではなかったが、その言外の意味は次のようなものだった。「Shopifyはブランドが迅速に成長し、さらに規模を拡大できる場所なのだ」。 フィンクルスタイン氏はNRFでのパネルディスカッション終了後に米モダンリテールの取材に応じ、コマースコンポーネントの運用開始がどのように行われたか、そして2024年にShopifyが何に注力するかについて語った。以下の対談内容は、明瞭化と簡略化のために多少の編集を加えてたものだ。