石破さんとトランプ次期大統領は信頼関係を築けるのか? 首相持論の受け止めは【ワシントン報告㉓首脳外交】
大統領選の期間中も一部の首脳とは会っている。その1人が9月のスターマー英首相で、女性のピアス駐米大使の人脈が奏功したとされる。社交的で知られるワシントンの有名人だ。 スターマー氏の労働党は大統領選でハリス副大統領を応援する動きがあり、トランプ氏との関係は良くない。それでも会談に導いたことで、英メディアもピアス氏を「外交官の中の外交官」(ニュースサイトのインディペンデント)と持ち上げた。 石破氏は寄稿で「米英同盟並みに日米同盟を引き上げることが私の使命だ」と締めくくったが、彼我の差は大きい。 ▽識者が言う「不幸中の幸い」 日本にとって米国は外交の基軸である。小泉純一郎―ブッシュ、安倍晋三―トランプといった過去の関係を見ても、長期政権を率いる上で米大統領との良好な関係は欠かせない。 米国との同盟関係や米軍が駐留する点で韓国は日本と立場が似ている。尹錫悦大統領は訪米時、バイデン大統領から国賓として迎えられるなど、個人的に関係が良かった。在韓米軍の見直しなどに触れたこともあるトランプ氏とはどうか。ワシントンの韓国人記者は「強権的な指導者を好むトランプ氏の性格から見れば、うまく行くのはないか」と楽観的だったが、その後に起きた「非常戒厳」宣言で尹氏の政権基盤自体が揺れている。 石破氏とトランプ氏との関係について、米シンクタンク、スティムソンセンターの辰巳由紀・日本部長は「2人のキャラクターを考えると関係構築は難しいかもしれない」と予測する。今回、石破氏とトランプ氏の会談は実現しなかったが、そのことについて辰巳部長はこう見ている。「最初の会談に全てがかかっている。今回もし失敗していたら取り返しがつかず、その点で不幸中の幸いだったとも言える」