アメリカ大統領選、ドル高批判のトランプ氏勝利でも「円安ドル高基調は変わらない」 来日した大手運用会社ピムコの公共政策調査責任者が予想
一方でFRBのジェローム・パウエル議長は8月23日の講演で「金融政策を調整する時が来た。調整の方向は明らかだ」と訴え、9月17~18日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決める方針を鮮明にした。金融関係者は「主要政策金利を0・25%引き下げて5・00~5・25%にすることを決定する公算だ」と話す。 利下げを決める背景には、アメリカの7月のCPIの前年同月比上昇率が2・9%と2021年3月以来、3年4カ月ぶりの低水準となり、4カ月連続でインフレが鈍化したことがある。現在の高水準の政策金利を長期間続ければ景気を過度に冷やす恐れがあるため、利下げによって経済への悪影響をできるだけ抑えたい考えだ。 パウエル氏の発言を受けて8月26日の東京外国為替市場の円相場は対ドルで急伸し、一時1ドル=143円台を付けた。 あるエコノミストは「FRBは年内に9月と11月、12月の計3回にわたって政策金利を引き下げる一方、日銀は12月に追加利上げをすると予測している。そうなれば日本とアメリカの金利差が縮まり、円高ドル安が進むのではないか」とみる。
▽キャントリル氏は「アメリカの高金利が引き続きドルを押し上げる」と予想 しかしながら、キャントリル氏は「FRBが利下げしてもアメリカの政策金利は他国より高いままとなるため、引き続きドルを押し上げる要因になるだろう」としてドル高基調が続くとの見解を表明した。 また、トランプ氏が大統領選で勝ち、掲げている政策を実行に移した場合にドルを押し上げる可能性にも言及した。一例として「第2次トランプ政権が誕生すれば外国からの輸入品に対する関税を引き上げる方向性は明確で、実行した場合にはアメリカのインフレに影響を与える可能性がある」と言及した。 トランプ氏は全ての輸入品に10%の「普遍的基本関税」を課し、アメリカが最大の貿易赤字を抱えている中国からの輸入品に60%の関税を設けることを主張している。輸入品に対する関税の引き上げは物価を上昇させ、FRBは政策金利を下げにくくなってドル高が助長する可能性がある。