【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(上)
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」。たまり続けるこの「核のごみ」を国内のどこに処分するのかは今も決まっていない。我々は今夏、廃棄物を地下深くに処分する「地層処分」の研究を行う「幌延深地層研究センター」を訪ねた。 (報道局総合ニュースセンター 野田 美佳子/福澤 真由美)
■「核のごみ」最終処分場をめぐり動きが…
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定をめぐり、今年5月、新たな動きがあった。原発立地自治体 としては初めて、佐賀県玄海町が、選定の為に行う調査の第一段階にあたる"文献調査"の受け入れを決めたのだ。文献調査は北海道の2自治体で既に開始されているが、調査は3段階あり、選定までには20年程度かかる見通しだ。 長い年月がかかることもあって、「最終処分場」への一般市民の関心は高いとは言えない。フィンランドの最終処分場「オンカロ」の名前を聞いたことがあっても、国内で1970年代から地層処分の研究が行われていることをほとんどの人は知らないのではないだろうか。 去年8月、私たちは福島第一原発と処理水放出の様子を視察したが、今回は最終処分場を造る際に必要となる「地層処分技術」の研究を行っている、日本原子力研究開発機構「幌延深地層研究センター」を取材する機会を得た。 地層処分技術の研究は、現在どのような形で進められているのか。「研究」だけにとどまらず「最終処分場」とされるおそれはないのだろうか。 私たちは8月30日、東京から稚内へ直行便で向かった。
■北海道・幌延町とは
「幌延深地層研究センター」は、北海道の道北・幌延町にある。 幌延町は稚内空港から車で約1時間で人口は2000人ほど。雄大なサロベツ湿原が広がり、基幹産業は酪農。センター隣の観光牧場ではトナカイたちが群れを作って散歩していた。
センターは「原子力関連施設」ではあるが、放射性廃棄物が存在したことは実は一度もない。 研究を推進するにあたり、日本原子力研究開発機構(当時は核燃料サイクル開発機構)と北海道・幌延町は「三者協定」を結び、研究中と研究終了後の放射性廃棄物の持ち込みを禁じている。ここはあくまで「地層処分」の研究施設なのだ。