【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(上)
■研究施設の設置経緯
そもそも、なぜここに地層処分の研究所が設置されたのだろうか。 地層処分を行うには、活断層や火山の近くなどを避けた長期的に安定した岩盤が必要となる。 日本の地質は主に「結晶質岩」と「堆積岩」に分けられ、昔、海の底だった幌延町には研究対象となる厚い堆積岩が存在することが確認されている。 さらに地下深い場所に塩分濃度の高い地下水もあり、サイクル機構が既に研究を進めていた「結晶質岩・淡水系の地下水」を対象とした施設(岐阜県瑞浪市)と対比できる特徴を有しているのだ。 処分方法を巡っては、「氷床処分」や「海洋投棄」が国際条約で禁止されているほか、地上管理は地震などの自然災害や戦争のおそれなどがあり、現実的な方法として「地層処分」が世界的な流れとなっている。 日本国内で原発が運転開始されたのは高度成長期にあたる1966年。地層処分の研究が開始されたのは1976年のことだ。 幌延町議会は1984年、放射性廃棄物を持ち込む研究施設「貯蔵工学センター」の誘致を決議。しかし「研究施設がなし崩し的に最終処分場にされるのではないか」との反対運動が起こり、1990年、北海道議会が設置反対を決議した。 こうした中、2000年、処分場の選定プロセスを定める法律が制定され、地層処分事業の実施主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)が発足。「研究と処分場選定は明確に区別」されることになった。
これにより幌延深地層研究センターは放射性廃棄物を持ち込まない「ジェネリック研究施設」として位置づけられ、北海道知事が受け入れを表明。翌年から研究を開始したのだ。
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