「毎日ぐっすり眠れる人」がやっている眠る姿勢・ベスト1は?【医師が解説】
また、歯ぐきが刺激されると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌に悪影響を与えるという報告もある。 これらのデメリットから、歯磨きは早めに済ませておくのが得策。寝る直前に口の中をキレイにしたいという人は、軽くうがいをするのがいいだろう。 ● 寝つきのいい人は みんな「大の字」で寝ていた! 眠る姿勢としては、仰向けや横向き、うつ伏せなどがある。じつは、国によって寝るときの姿勢は違い、日本を含むアジア圏は仰向けを好むとされる。一方、欧米は横向きやうつ伏せで寝る人が少なくないようだ。 基本的には好みに合ったスタイルで寝ればいいが、ぐっすり眠る人は仰向けの姿勢を取ることが多い。 実際、仰向けは理にかなった姿勢といえる。敷布団に対する体の接地面積が大きいので、体重を無理なく支えることができるからだ。一方、横向きに寝た場合、仰向けと比べて、体の接地面積が半分程度しかない。このため、体重を支える負担が大きくなり、体に無理が生じる可能性がある。 うつ伏せで寝た場合は、体の接地面積自体は仰向けと同じ程度だが、顔を真下に向けて寝ると息ができない。そこで、顔が必ず横を向くので、首を痛めやすくなるという欠点がある。 このように体にかかる負担から考えると、仰向けがベストということになる。では、腕と足はどのような姿勢を取ったらいいのか。 まず、腕を体にくっつけ気味にして、1本の棒のような姿勢で寝るのはどうだろう。 腕で体の両脇をガードするので、何となく気持ちが安定しそうだが、腕や足の内側に熱がこもりやすい姿勢でもある。深部体温が下がりにくいので、眠りに向けた準備がやや遅れるかもしれない。
これに対して、腕と足を広げた「大の字」型なら、深部体温を手先と足先から逃がしやすい。熱を放出しやすいように、手のひらは上に向けるほうがいいだろう。一般的にいって、この大の字スタイルで寝るのが最も快眠につながりそうだ。 ただし、仰向けに寝ると、人によっては舌の筋肉がゆるんで気道に落ち込み、呼吸しづらくなる。横向きになれば、気道は十分確保できるので、眠りを妨げることはない。とくにいびきをよくかく人は、横向きで寝たほうが熟睡できるとされる。 ● 朝に牛乳を飲んで 「睡眠ホルモン」メラトニンを分泌させる 毎朝、コップ1杯の牛乳をゴクゴク飲む。骨を強くしたい人はカルシウム補給のため、よく眠りたい人ならトリプトファンという成分を摂取したいのだろう。 トリプトファンは体内では合成できず、食事で摂取しなければいけない必須アミノ酸の一種。腸で吸収されたのち、脳に送られてセロトニンの材料になる。セロトニンは夜になるとメラトニンに変換され、その働きによって眠気を覚えて、すみやかに寝つくことができる。 食べものから摂取されたトリプトファンは、メラトニンに変わるまでに14~16時間かかる。この仕組みから、ぐっすり眠るためには、朝のうちにトリプトファンの豊富な食品を取ることが大切なのだ。 1日にトリプトファンがどれほど必要かというと、体重1kg当たり4mgとされている。たとえば体重が60kgの人なら、毎日240mgを摂取したい。 トリプトファンはさまざまな食品に含まれている。なかでも、手軽に摂ることができるのが牛乳で、コップ1杯(200L)を飲むだけで、1日の必要量の3分の1ほどを摂取できる。毎朝の習慣にすれば、夜が更けるにつれて、自然と眠気が湧いてくるようになりそうだ。 1日の必要量の残り3分の2は、ほかの食品から摂ればいい。基本的にたんぱく質が豊富な食品にはトリプトファンも多い。チーズやヨーグルトなどの乳製品、レバーや肉、カツオやマグロ赤身、卵、大豆製品などに多く含まれている。