「レザー=秋冬の常識を変える」A LEATHERが世界初の本革スイムウェアを開発
日本発のレザー専門ブランド「エー レザー(A LEATHER)」が、世界初となるレザーを用いた水着を開発した。2025年2月から、ブランドの直営店、公式オンラインストア、卸先セレクトショップで取り扱う。 【画像】「A LEATHER」世界初のレザー水着
エー レザーは、デザイナーの長岡利和が「日本のレザーを世界へ」をテーマに2022年に始動。食肉副産物として生み出された日本製皮革のみを用いてメンズ・ウィメンズウェア、シューズ、小物などを幅広く提案している。レザーだけでなくファスナーやボタン、裏地なども日本製にこだわっているほか、裁断や縫製も日本の職人のみに依頼しており、一貫して「オール・メイドインジャパン」である点も特徴だ。 同ブランドは、レザー専業ブランドであるが故にどうしても春夏と秋冬で売り上げに大きな差が出てしまう課題を解決するために水着の開発に着手。製品化にあたり革が水を吸って重くなってしまうことや縮み、硬化といったハードルがあったが、付き合いのあるタンナーの協力を得て構想から約1年で製品化に漕ぎ着けた。「『レザー=秋冬』の常識を変えたかった」とデザイナーの長岡。 新たに開発した水着は、レザーの表面に撥水加工を施すことで水中でも問題なく動ける機能性を実現。撥水加工を施すにはオーブンのような機械に入れて熱を加えて定着させる「焼き付け」という工程が必要になる。通常染料仕上げのレザーに熱を加えてしまうと硬く、質感が損なわれてしまうことから、これまで本革の水着開発は不可能とされてきたが、鞣しの段階でレザーに油分を多く含ませておくことのほか、「焼き付け」の後に「太鼓」と呼ばれるドラム式洗濯機に似た機械でふるいにかけることなどを通して、撥水性を持たせつつレザーを柔らかく仕上げることに成功した。長岡は、製品化前に実験も兼ねて同水着を着用してプールや海でスイミングを楽しんだが、淡水、海水問わず問題なく使用できたという。 2025年春夏コレクションでは、ビキニ(13万2000円)、タンクトップ(9万9000円)、ショーツ(15万4000円/全て税込)の3型を展開。ビキニ、タンクトップはウィメンズ向けで、ショーツは幅広いサイズを揃え、ユニセックスで着用できる。長期間着用していると撥水性が落ちてくるが、数年おきにアイロンがけをして熱を加えることで、半永久的に使用することが可能だ。今後はレインコートや雨の日用ライダースジャケットなどの開発を進めていきたいとしている。 同ブランドは、2024年秋冬シーズンから国内外で卸展開を開始。前年比500%の売り上げを目標に掲げているが、現在は目標に向けて順調に進捗しているという。長岡は、「6月にパリで開催した展示会でも評判は上々で、先出しで納品しているショップからも消化率が高いという報告を受けている。次の2025年秋冬コレクションがブランドにとって飛躍のシーズンになるのでは」と自信を覗かせた。