【独自取材】「現代のアヘン戦争」フェンタニルの脅威を阻止できるのか?史上最悪の麻薬で街が“ゾンビタウン化”トランプ新大統領の決断(前編)
トランプ次期大統領は違法フェンタニルを根絶できるのか
2024年の大統領選挙でも「違法薬物対策」は争点の1つとなっていた。トランプ次期大統領は、「麻薬の売人に対して強力な死刑制度を導入する」などと訴え、厳格な国境管理政策を約束している。 2024年11月25日にはSNSに「何千人もの人々がメキシコとカナダを通過し、かつてないレベルの犯罪と薬物をもたらしている」と指摘し、2025年1月20日に大統領に就任した直後に「私はメキシコとカナダに対し、アメリカに流入するすべての製品に25%の関税を課すために必要なすべての文書に署名する」と宣言。違法な麻薬やフェンタニルの流入が止まるまで、この措置を継続すると強調した。さらに、フェンタニルの原料をメキシコに送っているという中国も批判。対策が講じられなければ、アメリカに輸入されるすべての中国製品に10%の関税をかけると表明した。 アメリカを揺るがす社会問題に、関税の強化を持ち出して対応に乗り出したわけだが、今後さらなる国境の厳重な管理など施策を打つとみられていて、トランプ氏の決断と実行力が問われることになりそうだ。一方で、ゾンビタウンと呼ばれる地域で暮らす人達は、政府に何を求めて、どんな対策を期待しているのか。様々な人へのインタビューから見えてきた実態と課題も詳細に伝えたい。 (FNNワシントン支局 中西孝介)
中西孝介