心躍ったあの頃の家族の外食を、ファミリーレストラン「cook knoll」で
その店の物語が、いつか未来の思い出に
喫茶店や居酒屋ではなく「ファミレス」を掲げているのも、子どものころのあたたかくて親密な、家族の外食の思い出がベースにあります。 「お酒が飲めなくても、小さいお子さま連れでも、気軽に誰でも来られる。席数が少ないので予約が限られてしまうのが現状なのですが、本当はそんな、親しみやすくて自由度の高いレストランでありたい。だから、家族連れのお客さまを見るとうれしくなります」 「ファミレス」らしく、メニューは老若男女に愛される洋食を基本に、「どんな料理だろう」と想像がふくらむ、聞きなれない料理名も混じります。例えば、ドリンクの「カリフォルニアウィンディー」は、大阪で45年間喫茶店を営む90代のおじいさんから譲り受けたメニューだとか。 外国の料理の名前を見て、食べたことのないごちそうのような気がしてワクワクしたあの気持ち。大人は子ども時代のそんな気持ちを思い出し、子どもは初めての体験に心躍らせて、メニューを開いて選ぶあいだもあたたかい時間が流れます。 「僕が家族で出かけた外食の記憶を覚えているように、この店も、来てくれたご家族のいつかの思い出になれたらと思うんです」 クリスマスやお祝いごとの日に、お出かけの帰り道に、連れていってもらったレストラン。ちょっと不思議なインテリアだったこと。しゃれた料理名にドキドキしたこと。おもちゃを選ぶのに何分もかかったこと。思い返すと映画の一場面のように再生される理由は、あのころは気づかなかったけれど、料理や空間にその店にしかない物語が流れていたからに違いありません。いつか、未来の思い出になる、あたたかなレストランの扉を開いてみてください。 【取材協力】cook knoll (文 大橋知沙 写真 津久井珠美/ 朝日新聞デジタル「&Travel」)
朝日新聞社