日本を救った長谷部誠のキャプテンシー
「僕はどちらかと言うと、どの監督とも上手くいっちゃうので……」 5人の歴代監督から変わらぬ信頼を寄せられてきた理由を自己分析しながら、長谷部は苦笑いしたこともある。だからこそ、チーム内の信頼関係がやや揺らいできたというハリルホジッチ前監督の解任理由を、代表人気や注目度が低下傾向にあった昨秋以降の状況とあわせて「キャプテンを任された人間として、強く責任を感じます」と深刻に受け止めていた。 「今回のワールドカップの結果で、日本サッカー界の未来が大きく左右されてくると思っている。個人的にはこれだけ長い間、日本代表にいますから、キャプテンであろうがなかろうが、自分のやるべきことは変わりません」 ポーランド戦では大声に派手なジェスチャーを交えながら、腹をくくった西野監督の代弁者をピッチで務めあげた。あえて負けを選ぶ指示には戸惑った選手も、攻めたいと思った選手もいたかもしれない。それでもすぐに意思を統一し、自陣でのパス回しで淡々と消化したアディショナルタイムを含めた約10分間は、長谷部がもつ生粋のリーダーシップを抜きには成り立たなかった。 (文責・藤江直人/スポーツライター)