モフレムの話をしよう――拡張するガンバ大阪のマスコット戦略
林大地選手加入の意外な効果
――モフレムの話を伺う上で重要な論点の1つが『広報』だと捉えています。例えば、ファン・サポーターがモフレムのぬいぐるみを撮影した写真をSNSにアップする行為は大きな露出を生んでいます。 石丸「ぬいぐるみと一緒に撮影をする文化はサンリオさんだったり、ディズニーさんだったりが牽引しているものだと捉えていて、モフレムが時代とマッチしたということなのかなと。遠征先に持ち運びのしやすい一番小さいサイズはビックリするくらい売れていて、在庫がない時にはサポーターの方からお叱りの声もいただきました(苦笑)」 亀井「マスコットをきっかけにガンバやサッカーを知る効果もあると思っています。『あの青いモジャモジャは何?』から『ガンバ大阪の~』という道はあるんじゃないかなと」 ――ホームタウンの各市役所に『モフレム像』を寄贈しているのも同じ理由ですよね。 亀井「市によって(モフレム像を)設置いただいている場所は違うんですけど、ガンバに興味のない方も訪れる市役所のような場所に置いていただく効果は大きい。そこはうちのホームタウン担当が粘り強く交渉した結果として、(ホームタウン)全市に設置することができているんですけど……(川口さんを見ながら)苦戦したところもあったよね?(笑)」 川口「はい(笑)。実は箕面市はスペースの問題もあって、当初は市役所内に置くことは出来なかったんです。スポーツ施設への設置で話が進んでいたのですが、箕面市出身の林大地選手が夏にガンバに帰ってきてくれたことをきっかけに流れが変わりまして。今は市役所の中央にモフレム像が設置されています」 ――ホームタウン出身の選手を獲得する効果はそんなところにもあるんですね。市役所という場所を重視していることにも表れていますが、近年は新規ファン開拓を意識した広報を重視されている印象です。 亀井「そうですね。モフレム関連は広報にもしてイベントにしても、ガンバ大阪のコアファン層とは違う層にアプローチできているのは感じます」 石丸「グッズの購入層も過去は40代男性を中心に30代~50代がメインだったのですが、モフレムグッズは20代が多い。モフレムがこれまでと違う層に関心を持たれているのはデータ的にも出ています。社員のお子さんがモフレム好きという話も結構聞きますし」 亀井「こないだの有楽町イベントにも蔵本さん(広報部)の奥さんとお子さんも大阪から来てくれていたしね。SNSで発信もしてくれた(笑)」 ――関係者からも愛されているのは素晴らしいです。 亀井「久しぶりに会う友人に、プレゼントとして無難なお菓子をあげるよりモフレムのぬいぐるみを渡した方が『何これ?』と会話が弾んで、自分の今やっている仕事の説明もできるメリットもあります。例えば、マスコットボールチェーンは金額的にもお手軽ですし、布教活動としてもピッタリでよく使っています(笑)」