韓国市場で暗号資産が一時暴落、大統領の戒厳令で
情勢不安で暗号資産が一時暴落
韓国の暗号資産(仮想通貨)取引所で、ビットコイン(BTC)をはじめ多くの銘柄の価格が12月3日暴落した。 これは韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が12月3日夜に非常事態戒厳令を宣言したことによるもの。 なお今回の非常戒厳は一時的なものになった。発令後、韓国国会は非常戒厳を解除するよう要求する決議案を可決。その後ユン大統領は4日早朝に、閣議を通じて非常戒厳を解除すると発表し、非常戒厳は解除された。 ユン大統領は、戒厳令を発動した理由を、野党における反国家的な活動に対処することが目的であると説明。これを受けて政府は、国会議事堂をはじめとする主要な場所に軍人を配置し、政治集会を一時的に禁止した。 なお地元メディアによると、韓国で非常事態戒厳令が最後に宣言されたのは1980年で、44年ぶりの出来事だ。 これを受け、韓国の取引所アップビット(Upbit)、ビッサム(Bithumb)、コインワン(Coinone)などでほとんどの銘柄が急落。アップビットでは、ビットコイン(BTC)が一時約30%急落。しかし、その後すぐに値を戻した。 またXRP、シバイヌ(SHIB)、ドージコイン(DOGE)などのアルトコインも二桁台の大幅な下落を記録した。 韓国では規則により、同国取引所での外国人投資家の取引は基本的に禁止されている。そのため韓国国内での暗号資産の供給量は限られており、現地での需要が急増・急落すると、国外市場との価格差が大きくなる。 このように韓国で暗号資産の価格が他国と乖離する現象は「キムチ・プレミアム」と呼ばれている。 今回の急落でビットコインの「キムチ・プレミアム」は史上最低を記録したとクリプト・クオント(CryptoQuant)のCEOのキ・ヨンジュ(Ki Young Ju)氏は指摘。「政情不安の時こそビットコインは上がるべきでは?」との私見を示した。 なお追跡プラットフォームアーカム・インテリジェンスによれば、戒厳令発表から1時間以内にアップビットへ約1.63億USDTが流入。これは一部の投資家が押し目買いを行ったとみられる。
あたらしい経済編集部