佐藤大樹が明かすロケで感じた福島県の魅力「心が浄化され人の温かさに触れられた」『風のふく島』
◆馬とコミュニケーションが取れたとのことですが、馬とのシーンで苦戦したことはありましたか? 僕が出演する第1話はラストシーンからの撮影でした。そのとき白馬と撮影したのですが、僕自身馬との撮影も初めてでしたし、馬も普段目にすることのないカメラやガンマイクが近くにあることによって恐怖心を抱いていたんです。砂浜でおなかを見せて駄々をこねてしまったり、本番が始まってから馬が言うことを聞かなくなってしまったりしたことがありました。でもその馬には人が乗っているし、スタッフさんたちは遠目から撮影していたので、その馬をコントロールできるのが僕だけという状況で、そのときはせりふや映り方を全く気にできないくらい、“この馬を暴れさせてはいけない”というプレッシャーがありました。でも、そのシーンがうまく撮れた後にニンジンを馬にあげたのですが、そのときの馬のうれしそうな顔が忘れられなくて…僕もうれしくなりました。 ◆佐藤さんは原作がある作品に出演される機会も多いと思いますが、実在する人物がモデルの役柄を演じるということに関してどのような印象を受けましたか? モデルの方に1時間ほどリモートインタビューをした映像をプロデューサーの方から提供していただいて、その方の素の部分をいろいろ研究させていただきました。車の中からインタビューを受けていたり、途中で郵便物を開けながら受け答えしていたりするのが面白かったのですが(笑)、言っていることはとても興味深くて、自分では考えられないような返答をされていました。その何げないせりふが実際にドラマのせりふになっている箇所もあるんです。実話を基にしたドラマってこういうふうに作られるんだなと大きな発見になりました。今回の役作りで新鮮だったのは、実際にお話しさせていただくときも、たわいない会話の中で生まれる人柄を盗もうとしたことです。しかも、その方が馬にEXILEの曲を聴かせていて(笑)。「聴くんですよEXILE!」と言っていただけてうれしかったです。 ◆ロケを通じて感じた福島県の良さ、魅力を教えてください。 僕の祖父母の家が福島県にあって、福島には年に一回帰っています。子供のころから毎年必ず行っている場所で、行くたびに心が浄化されるイメージがありましたし、今回、福島県で撮影できるというのを聞いてすごくうれしかったです。福島の方は人を信頼していて、地域の輪を大切にしている県民性があると感じていました。南相馬市の方も、僕が馬の練習をしていたときに手取り足取り細かく教えてくださいましたし、方言のアドバイスもしてくださいました。人の温かさに触れられたのがうれしかったですし、馬に対する情熱を見て、ここまで動物を大切にされている方と密に接する機会があまりなかったので、すてきな街だなとあらためて感じました。 ◆地元の方たちの協力もあって撮影が進んでいったんですね。 そうですね。エキストラの方は地元の方が多くかったです。僕が知っている福島県の方言について「こういう言い方で合っていますか?」と尋ねると、「こういう言い回しの方が本物っぽく聞こえるよ」と教えてくださいました。撮影の合間も皆さんと積極的に話したことで、本番ではいい空気感の中で撮影をすることができましたし、皆さん温かい方たちばかりでした。 ◆東日本大震災があったとき佐藤さんは高校生でしたが、そのときに思われたこと、そして今の福島に対して思うことがあれば教えてください。 僕は高校生で、ダンスの練習をしていたときに東日本大震災が起きました。EXILEが「Rising Sun」という曲を掲げて、日本を元気に、世界を元気にというテーマでアーティストとして活動している姿を見て、僕は自分たちの曲、パフォーマンスで日本を勇気づけられるような存在になりたいとそのときにより強く思いました。今回福島でドラマを撮影して、福島県の方にもそうですし、応援してくださる方、福島に移住した方たちに僕が勇気を与えられればうれしいなと思います。 ◆本作をどのような方にどういった目線で見ていただきたいですか? 今回は福島12市町村に移住した方の実話を基にした物語です。移住をした方たちがどういう思いで移住して、どういう熱意があって移住したのかというのはなかなか描かれる機会もないと思います。オムニバス形式の本作を見て、福島県に行ったことがない方に行ってみたいと思っていただけるとうれしいですし、僕が出演する第1話に関して言うと馬についてもっと知ってみたいと思っていただけるとうれしいです。東京など都会に住んでいる方は移住するという決断をする方は多くないかもしれませんし、他の地域の魅力は自分で調べないと分からないことも多いので、このドラマをきっかけにいろいろ調べてもらえるといいなと思います。
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