IHIポールワース、鉄鋼向けカーボンソリューションでグループ力発揮。IHI内と独SMS「二刀流」で連携強化
製鉄プラントのエンジニアリング会社、IHIポールワース(本社・東京都江東区、IHIPW)が、鉄鋼向けのカーボンソリューションでグループ力を発揮している。IHIグループ内、そしてIHIPWの合弁パートナーであるドイツの製鉄プラント大手、SMSグループとの連携を深めることで製品や技術提案の幅を拡大。人的リソースの面でも両グループの力を活用し、案件増への対応を図る。IHIとSMSの「二刀流」によるグループ力で、鉄鋼業界のカーボンニュートラル(CN)を後押しする構えだ。 IHIは、本体でアンモニアやメタネーション、CO2回収といったCNで注目を集める技術に力を入れている。グループ企業では製鉄所向けの大型圧縮機を造るIHI回転機械エンジニアリングをはじめIHIプラント、IHI汎用ボイラ、IHI原動機などを通じ、生産現場の省エネやアンモニア関連の製品開発を手掛けている。 これらカーボンソリューションは、IHI営業統括本部の総合営業部が司令塔となり横断的な展開を進めている。IHIPWも同部と連携することで、日本の鉄鋼メーカーに対する一体的な提案を推進。脱炭素技術の実装段階で浮上するさまざまなニーズに対応していく考えだ。 合弁パートナーであるポールワースの親会社、SMSとの連携も進めている。経済産業省の先進的省エネルギー投資促進支援事業では、SMS製品を含めこれまで7件を登録。このうちSMSの「SISインジェクションシステム」は通電時間を短縮し酸素や電力消費を減らせる設備として国内の電炉メーカーで新たに採用された。 SMSがDC電炉向けに開発した電力の質低下を抑制する整流器「X―Pact AURA(アウラ)」でも日本での商機を見込む。アウラはスウェーデンのH2グリーンスチールやタイの電炉で採用されており、こうした海外での実績やデータを示しながら、日本で導入が進む電炉での採用を働きかけていく。 CN関連の新規案件に加え、IHIPWがかねて強みとする高炉関連やコークス炉など製銑プラントでも案件が動いている。JFEスチール西日本製鉄所福山地区向けでは今年から日本初となるスタンプチャージ式コークス炉団の工事に入り、2025年内に稼働させる計画だ。 現状ですでにIHIPWの繁忙感は極めて高い。自社内で賄いきれない人的リソースを補うべく、IHIグループの海外拠点やSMSグループのインド拠点に協力してもらうことも視野に入れ、今後の受注増に備えていく。