V逸侍ジャパンの投手運用に苦悩 選手を預かる井端監督が漏らした胸中「難しさは非常にあった」
勝ち続けてはいたが…投手運用の問題があらわになった決勝
野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は24日、東京ドームで決勝を行い、日本代表「侍ジャパン」は0-4で台湾に敗れ、2大会連続の優勝はならなかった。2019年の前回大会以来、国際大会で続いていた連勝も27でストップ。決勝という大舞台で露見したのは、投手運用のほころびだ。試合後の井端弘和監督はその苦悩を語った。 【動画】「日本の偉大なスポーツマンシップだ!」 決勝で敗れた後に…侍ジャパンの振る舞いの様子 世界一をかけた決勝はまたも中盤に動いた。先発の戸郷翔征投手(巨人)は5回、先頭の林家正(リン・ジャーチェン)に先制ソロを浴びた。さらに1死後、右前打と四球でランナーを溜める。ベンチから吉見一起投手コーチがマウンドへ足を運んだが、判断は続投。3番の陳傑憲(チェン・ジェシェン)にフルカウントからの7球目、内角低めの150キロを右翼席へ運ばれ、0-4とリードを広げられた。 台湾が決勝をにらみ、好投手を温存していたことを考えるとあまりに大きな点差だった。中盤のヤマをどう乗り越えるかは、今回の日本代表の大きな課題であり続けた。勝利したとはいえ23日のスーパーラウンド台湾戦では、5回に先発の早川隆久投手(楽天)が2失点。6回には3番手の北山亘基投手(日本ハム)が2失点。22日のベネズエラ戦も、6回から2番手で登板した井上温大投手(巨人)が3失点し、一度は3-5と逆転を許した。 参加国の中には、13日の初戦で12人をつぎ込む継投を見せた豪州のように、失点を食い止めるためには序盤から投手交代をいとわないチームもあった。ただ、日本は先発とリリーフの役割を固定。その狭間となるのが5、6回だ。先発を引っ張るのか、交代するのか。ギリギリの選択を迫られる。
井端監督「前倒しするにしても、今度は中継ぎが…」
井端監督も「(大会は)長丁場なので、その中でやりくりする中ではある程度6回というのを予選(オープニングラウンド)の時も思っていたんですけど、そこまで持たないというところで。前倒しするにしても、今度は中継ぎが持たない。何とか予選はしのいできたんですけれど……」と苦悩を明かす。 投手側にも難しさはあった。このタイミングで使われた井上や北山、さらに隅田知一郎投手(西武)は自チームでは先発投手。登板を重ねるとともに準備の仕方を身につけていったが、リリーフに必要なボールの出力を1球目から出せないケースもあった。 さらに、NPBのシーズンが終わったところでの戦いだ。各チームから“預かった”投手の起用には、気を使わざるを得ない。指揮官も「シーズンが終わったところですし、うまく使っていかないといけない難しさは非常にあったと思います」。国際大会はシーズン前後に行われることが多く、首脳陣の意図した起用を実現できないこともある。いくつもの難題が、決勝という舞台で噴出してしまった。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori