被災の七尾「食祭市場」に出店 洋食店で元気取り戻せ
●撤退店スタッフ独立 ●4日から本格営業 能登半島地震で被災した七尾市の道の駅「能登食祭市場」で4日、洋食店が本格営業を始める。食祭市場の完全復旧に見通しが立たない中、震災後に撤退した飲食店のスタッフが「能登に元気を取り戻したい」と独立して出店を決意した。震災の影響で観光客が途絶えた逆境の中でも、腕によりをかけた料理でにぎわいを呼び込もうと意気込んでいる。 食祭市場2階で営業を始めるのは「遊庵(ゆうあん)」で、火曜日を除く午前11時~午後9時に営業する。看板料理のオムライスをはじめ、能登豚を使ったカツ料理、ピザやスイーツなど全て手作りのメニューを提供する。 元日の地震で食祭市場は施設が損傷、配水管が破断し、駐車場が液状化被害に遭った。出店するスペースには約3年間、イタリア料理店が店を構えていたが、施設再開のめどが立たないことを理由に2月末で撤退した。 常連客から閉店を惜しむ声が上がる中、料理人の小西良治さん(54)=七尾市南藤橋町=、従業員の髙島加奈さん(25)=志賀町舘開=らは新店舗を設けられないか模索。イタリア料理店の運営会社を退職後、5月の大型連休中に行われた食祭市場の催しにブースを構え、オムライスなどを販売した。食祭市場に活気が戻り「大勢の人を迎えて幸せだった」と振り返る髙島さん。開店準備を進め、6月1日からランチ限定で仮オープンした。 食祭市場は岸壁の亀裂から施設周辺に海水が流入しており、今も施設の全面復旧にめどが立っていないが、1階と屋外が毎週土日と祝日、2階飲食店の一部が火曜日を除いて限定営業している。7月は毎週金土の午後6~8時半に「復興食彩ビアガーデン」(北國新聞社後援)を開き、各店自慢の料理を提供する。 小西さんは「地域に愛される店を目指し、七尾の観光拠点である食祭市場を盛り上げていきたい」と話した。