社会の時間に習った「貿易」。実際、日本では貿易によってどれだけの利益を出しているのですか?
日本は、世界でも有数の貿易大国と呼ばれています。しかしニュースや新聞では、日本の貿易が赤字だと伝える内容を見る機会も少なくありません。これはどのような事態なのか気になる方も多いでしょう。 その疑問を解決するために、今回は日本の貿易の現状と国内の貿易が抱える問題について解説します。
日本の貿易収支はマイナスが多い
日本は、中国・アメリカ・ドイツに続く世界第4位の貿易大国と呼ばれています。しかし、財務省が発表した「令和4年度分貿易統計(速報)の概要」によると、2022年の貿易収支は21兆7285億円の赤字となっています。 なお、その内訳は輸出額が99兆2265億円、輸入額が120兆9550億円です。輸出に対して輸入が大きく上回っていることが分かります。 その上、貿易赤字は通算2年連続となっています。 ■令和元年から4年間の貿易収支 令和元年から令和4年までにおける貿易収支の結果は、以下の表1の通りです。 表1
※財務省「報 道 発 表 令和4年度分貿易統計(速報)の概要」を元に筆者作成 上記のデータから、日本の貿易収支は赤字が多く、プラスに転じてもわずかな金額であることが分かります。 ■日本は加工貿易大国 そもそも戦後の日本は、海外から原油や工業材料など資源を輸入したものを加工して成長を遂げた「加工貿易」の国家です。それは現在も変わらず、日本は毎年、海外から多くの材料を輸入して、製品化したものを輸出しています。 代表的な製品には、自動車や半導体が挙げられます。これらの製品は国内の資源で賄いきれないため、海外から原料を輸入して製品化し、海外に売っているのです。 日本は他国よりも国土が狭く、資源に乏しい国です。特に食料の自給率は海外に頼っている部分が大きく、令和4年の自給率(生産額ベース)は58%といわれています。全食料のおよそ半分を海外に頼っている計算のため、日本にとって物の輸入が大切なことがよく分かります。