勢い良く火の粉散らす 伝統受け継ぐ花火奉納【長野県阿智村下清内路】
長野県阿智村清内路の下清内路諏訪神社、建神社で13日夜、秋季祭典奉納煙火が繰り広げられた。5年ぶりに地域外からの観覧も受け入れて実施。住民有志でつくる「下清内路煙火有志会」(門野祐一会長)が2カ月かけて製作した伝統の手作り花火で、訪れた観衆を魅了した。 境内に張り巡らされた鉄線を「綱火」が走り、3カ所に設けられた囲い櫓の仕掛けに点火。音を上げて火を噴きながら回転する「火車」や「花傘」周囲に火の粉を吹き散らす大迫力の「大噴水」が点火され境内が歓声に包まれた。 クライマックスの大三国では、有志会員が全身で火の粉を浴び、足踏みをしながら掛け声を上げてきおった。第1部の諏訪神社の部に続いて第2部の建神社の部が繰り広げられ、見物客は2度にわたって迫力満点の仕掛けと大三国を満喫した。 清内路の手作り花火は県の無形民俗文化財。江戸期に行商の村民が三河地方から花火の製造方法を持ち帰ったのが始まりとされ、300年近くにわたって上下清内路の住民がそれぞれ独自の技術を受け継いできた。 下清内路では各組ごとに伝えてきたが、連合青年を経て現在は有志会が受け継ぎ、炭焼きから全て手作り。今年も連日火薬づくりに取り組むなど準備を続けてきた。 門野会長は「皆さんの協力で無事に花火を出すことができた」と感謝。「今年から一般の観客も迎え、やる方としても見ている人が多い方がうれしいし、やりがいがある」と話していた。