英花形運用者、日本株で「投資候補2、3社」-資本効率改善あれば
(ブルームバーグ): 英国のファンドマネジャー、テリー・スミス氏は、自身が独自基準で運用するファンドの投資先候補になりそうな「日本企業は2、3社ある」と述べ、キーエンスや東京エレクトロン、信越化学工業を挙げた。同氏のファンドは現時点で日本企業には投資していない。
スミス氏は5日のインタビューで、これらは「非常に良い会社だ」と述べ、現時点では投資していないものの、将来保有することもあり得ると述べた。ただ、キーエンスなどを含め多くの日本企業は「利益を還元することにフォーカスを当てて経営していない」とし、「改革が必要」とも指摘した。
同氏は2010年に独立系運用会社ファンドスミスを立ち上げ、優良企業に合理的な価格で投資し、頻繁な売買を行わないことなどを投資哲学としている。
英国のウォーレン・バフェットと称されることもあるスミス氏は、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)の変化を感じていると評価。その一方で、同氏が優良企業と定義する「時価総額が100億ドル以上」や「高い資本利益率(ROC)」などに該当する企業は多くないと述べた。
AIの将来に懐疑的
一方、スミス氏は人工知能(AI)ブームの中心的存在となり、株価が年初から約3倍に上昇、時価総額が世界最大となった米半導体メーカーのエヌビディアについて、予測可能な収益フローや高い資本利益率の実績が欠けているとして懐疑的な見方を示した。
他の主要なインデックスファンドなどがエヌビディア株などに集中投資していることが、スミス氏のファンドのリターンの見劣りを招いていると認めながらも、「AIの将来がどうなるか、私たちは分かっているとは言えないだろう。なぜなら人々が対価を支払うようなアプリケーションはほとんど存在しないからだ」と語った。
その上で、人々はこの投資を正当化するのに十分な規模と高い価格で「払おうと思えるのか」と疑問を呈し、もしそうでない場合、エヌビディアは「問題を抱えることになるだろう」と述べた。