日本を「最速」で守れるのは戦闘機だけ…50年以上前の「長寿モデルF-15」が重宝されている2つの理由
■ちょっとした間違いが命取りになる 飛行体が領空から遠方にいるときは、まずは監視です。他国の飛行体の意図、企図、計画などはわかりません。飛行体の近くまで接近し、直接目で見ることでわかることもありますが、ほとんどは想像の範疇です。つまり、相手が何を考えているのか、まったくわからないまま飛ぶわけです。 そういったなかでの対処は、ちょっとした間違い、勘違いが命取りとなるため、きわめて慎重に行なう必要があります。あのヒリヒリとした緊張感は、他の何物にも代えることができません。 防衛省のホームページには、スクランブル発進の状況を報告しているページがあり、中国やロシアの戦闘機や爆撃機の写真が掲載されています。どんな航空機が飛んできているのか、ぜひ見てみてください。 このように、日本の領空を侵犯する意思の有無にかかわらず、領空に近づいてくる彼我(ひが)不明機に対してすべて対処します。 状況によっては、機体信号や無線を使用することもあります。当然、日本語で話したところで伝わりません。英語、ロシア語、中国語など必要な言葉、フレーズを頭に叩きこんだことを覚えています。 戦闘機を操縦しつつ、国際法や憲法など、ありとあらゆるルールに則(のっと)りながら、オーダーのもと最善の対処をする。こういったなかで慣れない言語を使うのは簡単ではなく、想像以上の時間と努力が必要になります。 ---------- 前川 宗(まえかわ・そう) 元航空自衛隊パイロット 1981年3月生まれ、愛知県出身。高校卒業後、航空自衛隊「航空学生」に入隊し、戦闘機パイロット資格を取得、F-15戦闘機パイロットとして任務につく。飛行教導群(アグレッサー部隊)にも所属。TACネームは「Hachi」。現在は、複数の会社の役員や顧問を務める傍ら、講演活動や学生への教育に注力している。著書に『価値ある人生と戦略的投資』(ごま書房新社)がある。株式会社HighRate代表取締役。一般社団法人「空の架け橋」代表理事。 ----------
元航空自衛隊パイロット 前川 宗