増えるベンチャーのM&A。「IPOする会社に投資したい」VCはぶっちゃけどう思っている?【キャピタリスト座談会】
M&Aでも投資回収ができれば良い
── M&Aが増えている感覚や、M&Aに対する起業家の意識の変化を感じていると。皆さんはこうした変化についてどう受け止めていますか? 松本:ファンドは最終的には(投資で得た株式を)現金にしなきゃいけないので、その手段が増えるのは喜ばしいことです。ただ一方で、私たちは古いVCなので、IPOする会社に投資をしたいという思いは大前提としてあります。 小澤:IPOができない、あるいはしても大型にできないのであれば、まだM&Aでイグジットしてくれる方が投資家としては資金を回収できて良いというのがベンチャーキャピタリストの本音だと思う。起業家の目の前では言わないですけどね。リターンが出るかという観点だと、早くIPOのマーケットが回復してほしいという思いはあります。 玉井:IPO前提で投資を検討しますが、投資仮説を作るときにM&Aの可能性も考慮することが増えました。具体的には、例えばヘルスケア事業であれば(オンライン診療などを手掛ける上場企業の)メドレーが買ってくれるかも…と考えたりとか。 スタートアップのM&Aというと安く買い叩かれるというマイナスイメージがありますが、リクルートによるインディード買収のような※ポジティブな事例がもっと出れば感覚がより変わると思います。 ※2012年、リクルートは約1000億円をかけてインディードを買収。当初は金額が高すぎるという声もあったが、その後リクルートのHRテクノロジー事業の中でも主力事業に成長した
土屋咲花