激しい目の痛みを感じたら…眼圧急上昇の可能性あり【一生見える目をつくる】
【一生見える目をつくる】#37 日本人の緑内障患者の8割は正常眼圧緑内障。眼圧が正常(正常値は21㎜Hg以下)でも緑内障を発症しています。 文化放送ディレクター白石仁司さん緑内障を語る「白く深い霧の中で生活している感じです」 では緑内障には、ほかにどんなタイプがあるのか。代表的なものを簡単に説明したいと思います。 ・続発性緑内障→眼圧上昇の原因が他の眼疾患(角膜炎やぶどう膜炎など)や全身疾患、または薬剤の使用による副作用である緑内障 ・先天性緑内障→生まれつきの緑内障 ・閉塞隅角緑内障→目の中の前房が浅く隅角が狭いタイプの緑内障 ・ステロイド緑内障→ステロイドが入った薬剤を使用することで眼圧が上昇する緑内障 ・外傷性緑内障→事故やスポーツ中のケガなどが原因で起こる。目に激しい衝撃が加わったことで隅角が損傷し、眼圧が上昇することで起きる緑内障 ほかに、緑内障の名前がついているが、通常の緑内障とはまったく別物である「急性緑内障発作」という病気があります。 ゆっくり進行する通常の緑内障とは違い、眼圧が急激に上昇するため、さまざまな症状を引き起こす。例えば激しい目の痛みや頭痛、吐き気や視界がモヤがかかったようにぼやけたり、かすんだりする。気分が悪くなる、吐き気をもよおす、目の前に虹のようなものが見える人も。 眼内の房水と呼ばれる液体が、通常よりも速く生成されたり排出されなかったりすることにより、眼圧が上昇することで起こります。隅角という角膜と虹彩の間の房水の排水口が急に閉塞し、房水が排出されなかったことで急激に眼圧が上がるんですね。 発作が起こるとすぐに視力が低下します。視界は白っぽくなり激しい目の痛みを感じます。治療をしないまま放置していると、数日で失明に至ることも。一例ですが、長時間のうつぶせ寝や抗コリンを有する風邪薬を飲んだあとに発症する人も多い。 また、加齢や遠視の方は発症リスクが高まることもわかっています。遠視の方は総じて眼球が小さく、眼球が小さいと隅角も狭いことが多い。隅角が狭いと房水が排出されにくくなるからです。 急性緑内障発作は発症からできるだけ早く治療することが重要。治療方法は、薬剤や点滴で急激に上昇した眼圧を迅速に下げる。眼圧が下がったら、レーザー虹彩切開術というレーザーを用いた治療を行うことも。片方の目のみ急性緑内障を発症したとしても、予防のために発症していない方の目も後日同様に治療を行うこともあります。 それほど頻度が高い病気ではありませんが、一度起こすと失明にもつながる。目に強い痛みを感じたなら、まずは疑うべき病気です。 (荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)