N-BOX首位陥落の原因は、間違っても「シンプル路線の失敗」ではない
ダイハツ離れの実態
先の論評では、業販店はダイハツからスズキに重点を移したといったようなことも書いている。ダイハツが不正認定発覚で生産・販売停止を余儀なくされるなか、各メーカーの軽自動車の業販店が潜在的なダイハツ購入希望者をスズキの軽自動車(特にスペーシア)に誘導していたという指摘だ。しかし、本当にそうだろうか。 一般的に、ユーザーが業販店から勧められるままに軽自動車を購入するとは考えにくい。買い替え需要がダイハツからスズキに流れたことは、両社の販売台数の推移を見ても明らかである。しかし、スズキにシフトした要因のひとつに、度重なる認証不正問題による「ダイハツ離れ」の可能性がある。 国土交通省は4月19日、ムーヴキャンバスなどダイハツ3車種の出荷停止を解除し、不正発覚前に生産していた27モデルの国内出荷を可能にした。今後の販売動向で、市場で「ダイハツ離れ」が起きているかどうかを検証する必要がある。 2024年5月のタントの販売台数は6174台だった。前年同月は1万1000台を超え、販売が好調な月は1万5000台を超えている。今後、タントの販売台数がどこまで戻るかは、「ダイハツ離れ」を検証するひとつの指標となる。
小城建三(自動車アナリスト)