親に抱かれて餓死する子ども、ガザを覆う飢餓 「一人ひとり死んでいくのを待つだけ」
深刻な水不足
ガザ北部では南部以上に長い間、子どもたちが食料不足に苦しんでいる。ジャバリヤ難民キャンプでは子どもたちが給水車の前に行列を作り、顔から汗を噴き出しながら、散乱するがれきを縫って通りを歩く。 別の数十人は水を求めて集まり、近くでは支援団体が大きな鍋からスープを注いで配っていた。 そうした食事ときれいな水が手に入ることはめったにない。ガザ北部の人たちは、最近では汚染された水を飲むしかないと証言した。そうした水は脱水症状を改善する役には立たず、感染症の原因にしかならない。 ガザに入る援助物資の量に「制限はない」とイスラエルは主張する。しかしトラックに対する検査や陸路の制限、激しい爆撃のために、援助物資はほとんど届かない。たとえガザに入れたとしても、飢えた人たちが車列に殺到して配給が妨げられる危険がある。 「私たちには援助として受け取る水しかない。みんながどれほど苦しんでいるかは言葉にできない」とハッサン・カラシュさんは言う。「私たちは病気で、水を運ぶ力もない。給水管は壊れていて、水の設備がない」 ガザ北部の住民は、水道から水が出ないため、めったに来ない支援に頼るしかないと訴える。UNRWAの先週の発表によると、8カ月に及ぶ爆撃で、ガザ地区の水や衛生設備は少なくとも67%が破壊されたり破損したりしている。国連環境計画によると、ガザの排水処理工場は5施設全てが停止した。 ガザ中部のアクサ殉教者病院では、5歳の女の子のラザンちゃんが赤くただれた指に金の指輪をはめていた。台車に寝かされたラザンちゃんの灰色の目はうつろだった。 「この子は戦争で変わってしまった」とおばのウム・ラザン・メイテムさんは話す。ラザンちゃんは栄養失調のために皮膚炎を患っているといい、「めいに与えられるものがない。市場は何もかも高すぎるか、売っていないかのどちらかだ」と訴えた。
「私たちに命はない」
新生児や妊婦は栄養失調や脱水の危険が最も大きい。妊婦の栄養が足りなければ早産が増え、生まれた子どもは低体重のために命を落とす。 ガザ北部のカマルアドワン病院の医師たちは、生後わずか4日だった女児のアマルちゃんを救えなかった。 CNNが死の直前に撮影した映像の中で、保育器の中のアマルちゃんは激しくあえいでいた。母のサマヘルさんは2カ月の早産で出産。アマルちゃんの小さなピンク色のつま先は、プラスチックチューブに覆われていた。 「赤ん坊たちが死んでいく。それは神が決めたことだが、人間が引き起こした」。アマルちゃんが22日に息を引き取った後、父のアフメド・マカトさんはCNNにそう語った。マカトさんによると、妻のサマヘルさんは妊娠中の何カ月もの間、十分な睡眠も食事も水も取ることができなかった。 「ここのベッドにいる全員が死の危険にさらされている。我々は、この子たちが一人ひとり死んでいくのを待っている」。そう語るマカトさんの声は震えていた。「私たちに命はない」 ハンユニスにいた4歳のアフマド君は、栄養失調で黄疸(おうだん)にかかっていた。父のイスマイル・マディさんは「このままでは息子は生き延びられない」と語って米政府に介入を訴えた。その数日後、アフマド君は死亡した。