トランプ関税警戒で米ドル高進行、対カナダ・ドルやメキシコ・ペソで
(ブルームバーグ): 26日の外国為替市場では、米ドルが幅広い通貨に対して上昇した。トランプ次期米大統領がメキシコやカナダ、中国からの輸入品に関税を賦課する方針を示したことが背景にある。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は26日、0.4%高。一時0.7%上昇する場面もあった。
カナダ・ドルは25日の夜遅く、対米ドルで1.4%下落し、一時2020年4月以来の安値となる1米ドル=1.4178カナダ・ドルを付けた。メキシコ・ペソは26日に一時2%超の急落。オフショア人民元は一時0.4%下落した。中国人民銀行(中央銀行)は予想よりも元高方向で対米ドル中心レートを設定し、通貨を下支えした。
コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「地政学的な目標を達成するため経済戦争が使われている」と指摘。市場はいっときトランプ氏の政策を真剣に受け止めていなかったが「われわれは変わり始めている」と語った。
トランプ氏はホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長にケビン・ハセット氏を起用する方針を固めたと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。就任すれば新政権の税制や関税、支出などの政策課題を主導する役割を担う。
ハセット氏はトランプ政権1期目で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、税制改革を積極的に擁護した。現在はトランプ氏の一連の関税案を支持している。
トランプ氏が関税を発表した後、主要通貨のボラティリティーは急上昇。特にカナダ・ドルとメキシコ・ペソに対して市場の注目が高まった。オプション市場では、カナダ・ドルの1カ月物リスクリバーサルが2年ぶりの弱気水準に傾いている。
トランプ氏は25日、麻薬などの違法薬物の流入を理由に、米国が既存の全ての課税に加えて中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。同氏は別の投稿で、カナダとメキシコからの全ての輸入品に25%の関税を課す文書にも署名すると表明した。