【毎日書評】がんばっても評価されないと嘆く前に、会社で正当な評価を受ける努力をしたか?
『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』(佐久間 宣行 著、ダイヤモンド社)の著者は、「仕事は人間でできている」という持論を持っているのだそうです。 どんなに成功した案件も、あるいは失敗したプロジェクトも、そこにいる人間の日々の仕事の積み重ね。だからこそ“人間”を見つめないと、仕事の悩みは解決できないということ。 たしかに難しい時代です。価値観も市場も揺れ動いています。 多くの企業が変化を求められ、新しい武器を身に着けないと、と焦る気持ちもわかります。 けど、たくさんの悩みを聞いているうちに、気づいたことがありました。多くの方が、その大きな時代の変化に立ち向かう前に「会社との正しい向き合い方」ができていないと感じたのです。 そこにひずみやズレがあるから感情とメンツに振り回される。 自分と周囲を客観視して悩みを言語化できれば解決策は見えてくるのに、その前に気持ちが参ってしまう人が多い気がする。 だから、もう一度本を書こうと思いました。(「はじめに」より) 執筆に際して意識したのは、「どの立場、どの年代の方が読んでも役立つ本にしたい」ということだったのだとか。また、それぞれのテーマごとに、「若い方が読んだら上司の気持ちが、上司が読んだら部下の本心が理解できるようにする」という思いもあったようです。 優しく、ずるく、心を潰さず、会社で起こるさまざまな困難に立ち向かえる本にする。『ずるい仕事術2・0』の側面もありますが、強度も使いやすさも増したと思います。(「はじめに」より) そんな本書のなかから、きょうは第1章「仕事は『要領よく』考える」内の「『誰にでもできる仕事』と思わせてはいけない」という項目に焦点を当ててみたいと思います。
上司には相談したか?
「がんばっているのに評価されない」とか、「努力が報われない」などと悩む人は少なくないもの。しかしそういう人は、“自分の仕事が正当に評価される努力”をまずすべきだと著者は述べています。なぜなら、「がんばっても報われない」と感じられる仕組みのなかでモチベーションを上げようと思っても、うまくいかないものだから。 著者自身もギリギリまでがんばった挙げ句、心が折れてしまってしばらく引きこもったことがあるそうです。問題を自分のなかに抱え込んだまま踏んばりすぎると、精神的にタフな人でも心身を壊しかねないと断言できるのはそのせい。 では、どうすればいいのでしょうか? そんなときは一度、「給料と仕事量が見合っていない」ということを上司にはっきりと伝えるべきだというのが著者の意見。難しそうだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、とはいえマネジャーが現状を把握しないまま仕事が正当に評価されることなどないのです。 それどころか、もしかしたら会社側が「あの人は不平不満をいわないから、このままの給料でやらせておこう」と考えている可能性だってあるかもしれません。しかし、そんな職場では誰だってメンタルをやられてしまいます。(30ページより)