プロ野球オールスターは1試合制に見直すべきか?
実は、2年前に横浜スタジアムで球宴が開催された際、その前日に横浜DeNAは「マツダオールスターエクスペリエンス2016 in YOKOHAMA」という大掛かりな前夜祭イベントを横浜スタジアムで開催する予定だった。これこそMLBの手法を日本に初導入したもので、当日は、ヤフオクドームで第1戦が行われていたが、そのパブリックビューイングを行うだけでなく人気歌手の秦基博のミニライブや数多くの体験型イベントが用意されていた。 あいにくの集中豪雨で中止となってしまったが、この画期的イベントを計画した当時の池田純社長は、「オールスターは日本シリーズと並ぶ、最高の選手が集まる大きなイベント。そこで新しい文化発信の形を作りたい。これが成功すればオールスター1試合開催の収益モデルを十分に作ることができる」と語っていた。 このイベントはNPB主導ではなく、横浜DeNA主催の独自イベントだったが、この事業計画に球宴1試合制を実現するヒントがある。ホームラン競争やパレード、球宴の伝説OBを集めたレジェンドゲームなども、ここに組み入れれば、大規模な観客動員も可能だろう。1試合開催で収益を維持して、球宴のブランディングを作りあげる戦略は、いくらでも転がっているのだ。 当時、NPBは、横浜DeNAのイベントに対しては冷ややかで、参考モニターにする構えもなかったという。 NPBは、横浜DeNAの事業計画を再度ヒヤリングするなどして1試合開催の事業プランを練ってみればどうだろう。NPBには、収益云々の問題ではなく、球宴という最高のイベントを、それにふさわしいブランドに高めていく使命がある。試合数を減らすと収益が減るという単純な発想で、このまま2試合、時には3試合という球宴スタイルを続行していくようならばファンの球宴離れが深刻になってしまう。今こそ転機なのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)