プロ野球オールスターは1試合制に見直すべきか?
球宴のプレミアム感を高め、選手にとって球宴選出が勲章となり、モチベーションのひとつになるほど、そのブランディングを高めるには、MLBに倣って1試合制にすべきで、選手の肉体的な負担も減る。 MLBでは、30年に1度、本拠地に球宴開催が巡ってくるというスペシャル感があり、球宴ウイークは、街をあげてのお祭り騒ぎとなるが、日本でも、1試合にすれば、12年に一度巡ってくることになり、そこに地方球場を交えていけば、さらにプレミアム感は増すだろう。 だが、NPBは、4年に一度の地方球場開催を決めるなど、2試合から減らす気は毛頭ないらしい。出場選手の選出方法に関しては、選手間投票を導入し、今回、「29人目の選手」を最後に選ぶワンプラス投票を5年ぶりに復活させたが、これらはすべてMLB球宴の選出方法を真似したもの。 コリジョンルール、併殺ルール、申告敬遠、VTRリクエストなど、MLBが先に導入したものを、たいして議論もせずに、倣って取り入れているにもかかわらず、なぜか、球宴1試合開催という最も真似るべきものからは目を背けるのである。 なぜか。 その背景にはNPBの“懐事情”がある。球宴は12球団の共催となっているが、日本シリーズと共にNPBの収益の軸となる事業である。それが1試合減れば、入場料、放映料などの収益は単純計算で半分に落ちる。2017年から、マイナビが冠スポンサーとしてついているが、2試合で、2億とも3億とも言われるスポンサーフィーも1試合となると大幅減は避けられないだろう。これらの収益は、NPBの運営費だけでなく、選手年金の財源ともなるため、大幅減収の可能性が高い1試合制には、なかなか踏み切れないのである。今後も、収益維持の見込みがない限り1試合制への移行は難しい。 それならば、1試合で2試合分の収益を見込める算段を真剣に考えればどうだろう。 MLB球宴は、「サマークラシック」と呼ばれ、前日に出場選手の市内パレードやホームランダービーを行い、その2日間を含めた球宴ウイークを街ぐるみで盛り上げている。空港に着いた途端に、多くのボランティアスタッフに迎えられ、街は球宴一色でTシャツなどの特製グッズなどが多数売られ、そのチケットは何十万円で取り引きされるほどプレミアがつく。球宴ブランディングが確立しているので1試合で十分なスポンサーフィーや放映料をMLBが得るような構造になってくる。